Rolf Movement – Part 3(3)〜クラスはどのように進行しているか?〜1日の流れ

ワークショップも最終日、10月13日を迎えた。

今回のRolf Instructorは、Rita Geirola(以下Rita)、France Hatt-Arnold(以下France)、Hervé Baunard(以下Hervé)の3名。Ritaがメインで、FranceとHervéがサブとして時々補足する形でクラスは進む。

午前8時半にERAが開き、果物とお湯と水が用意されている。休憩スペースでゆっくりしながら、クラスに向けて準備することができる。

午前9時からクラスが始まる。最初にRitaからEmbodimentが披露される(Embodimentについては「身体感覚〜Embodimentとは何か?」参照)。Part 1とPart 2のクラスでもEmbodimentからクラスは始まるのだが、違うのは、Embodimentを終えた後に「どのような意図で組み立てているのか」を明確に説明することが求められる点だ。

クラスの状況を見ながら、時々2つのグループに分けて、RitaのEmbodimentを観察するグループと受けるグループとに分かれ、観察する時間が設けられた。実際に指導する立場に立ってグループを見る機会はそれほどないと思うが、目で見ることで得られるものは大きい。

Ritaによると、人間は「見る」ということを教育や経験を通じて学ぶのだという。他の2つの感覚、内耳感覚と筋感覚がすでに備わっているのとは対照的だ。この点は以前、本コラムでも書いた(「3つの情報収集系のバランスを整えること」参照)。セッションもEmbodimentも、生徒のものをたくさん見ることで観察の方法を身につけるという意味がある。

観察のポイントとして、次の3点を説明しながらクラスが進んだ。

  • 1)一人一人の生徒がどのようにEmbodimentを捉えているのか
  • 2)どのようにサポートしたらいいのか
  • 3)クラスのダイナミクスはどのように変化しているのか

練習は床でのワークやベンチワークにも及ぶ。主に、セッション1から3までの上半身と下半身をどのように統合していくのか。パートナーと組んで、言葉を使ったセッションを行った。言葉選びは文化によって解釈が違うこと、英語でも人によって違う解釈をすることがあり、言葉選びを学ぶ貴重な機会となった。

各自で昼食休憩をとった後、3人1組で30分の準備時間が与えられる。そして代表の1人が発表をし、2人がサポートに回る。発表は10分、ディスカッションは15分ほど。どのような意図でEmbodimentを披露したのか。主に、ロルフィングやRolf Movementの基本的な考え方と照らし合わせていった。

参考までに、ここで拠りどころとした考え方については下記にまとめているので、興味がありましたらご覧いただきたい。

この観点から、フィードバックも行われた。そしてフィードバックについては、基礎トレーニングのPhase IIのときにGiovanni Felicioni先生から配布されたプリントが再度共有され、そのガイドに基づいて行われたのも面白かった(「フィードバック〜トレーニングではどのようにして評価を受けるのか?」参照)。

2日目は終わるのが30分遅く、どうなるのかなと思っていたが、3日目になると終了時間も午後6時より前に終わるように、生徒の時間管理も自主的にうまくいくようになっていった。

ただし、1日6人のEmbodimentを受けるのは本当に大変だ。参加者18人の中には脱落する人もいて、Ritaをはじめとしたインストラクターたちが、どのように場を作っていくのか苦心している様子が伝わってきた。

いよいよ、今日で最終日。最終日のみ午後4時に終わる予定だが、私のEmbodimentのプレゼンテーションも控えている。どのような形になるのか?楽しみながら、クラスに臨みたい。

いよいよ今日で最終日。最終日のみ午後4時に終わる予定だが、私のEmbodimentのプレゼンテーションも控えている。どのような形になるのか。楽しみながらクラスに臨みたい。

2026年8月の注記

この回で書いた「観察するグループ」と「受けるグループ」に分ける設計は、四年半前にも通っていた。

Phase IIIの構造がそれだった。各生徒が2人のクライアントを担当し、それぞれ10回シリーズを行う。10回分で60セッションを見ることになるが、自分の手が動くのは20回で、残る40回は観察だった。

Ida Rolf の教育に Auditing という段階があった。施術をせず、観察だけをする期間である。Pierpaola Volpones 先生の記録によれば、1980年代のミュンヘンの課程は Audit 9週間と Practitioner 9週間の2段階で、Audit では一切施術を行わなかった。見ることを先に置く設計は、そこまで遡る。

ただ、Part 3のこれは向きが違っていた。Phase IIIで観察していたのは、施術を受けている人の身体だった。ここで観察しているのは、教えている人の運びのほうだ。受ける側の位置から見るのではなく、渡す側の位置から見る。同じ「見る」でも、目を向ける先が入れ替わっている。

Ritaが言った、人間は見ることを教育や経験を通じて学ぶのだ、という一文がこの回にある。内耳感覚と筋感覚は最初から備わっているが、見ることだけは学習される。この対比自体は2015年に一度書いている。四年後、それが自分の観察力の話ではなく、教える人の観察力の話として戻ってきた。

もうひとつ、この回には言葉の紛らわしさがある。

ここで並べた5つを、当時の記事は「ロルフィングの原理・原則」と呼んでいる。だが原則というものは別にあって、Support、Adaptability、Palintonicity、Closure、Wholism の5つを指す。Phase IIIで教わったのはそちらだった。

並んでいる Palintonicity、Embodiment、Articulation、Tonic Function、Polyvagal Theory のうち、原則に含まれるのは Palintonicity だけである。残りは、Rolf Movement の課程が拠りどころにしている概念であって、原則ではない。Embodiment は課程そのものの主題であり、Tonic Function は Godard の理論、Polyvagal Theory は Porges の理論で、いずれも外から入ってきたものだ。

当時はこれを区別せずに「原理・原則」と書いていた。区別がついたのは、5原則が Ida Rolf のものではなく、1989年の分裂の後に Jeff Maitland と Jan Sultan を中心に整備されたものだと知ってからである。出所を知らないうちは、教室で拠りどころにされているものが全部同じ重さに見えていた。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka