生徒同士によるロルフィングセッションも無事10回が終わり、いよいよ外部からクライアントを呼ぶトレーニングが始まった。生徒8人に対して、それぞれ2人ずつクライアントを担当。
生徒は2人1組で、午前と午後にそれぞれ一人がロルフィングセッションを行い、もう一人が見学するという体制をとる(各組は1日目と2日目とで異なる相手になるように組んだ)。
私が受け持った2人のクライアントはいずれもドイツ人の女性であったが、英語に問題がなくコミュニケーションをうまくとることができた。興味深いことに、一人は医師であった。
2人ともロルフィングが初めてということで、1回目のセッションのテーマである「呼吸を調える」でセッションを進めた。body reading(身体観察)を行った後、TeacherまたはAssistant Teacherに目的・戦略を説明。定法通りの施術の手順で行っていった。要所で先生から施術のアドバイスを受けていったが、すごく充実した、楽しくワクワクする1時間20分のセッションであった。
自分の内部感覚を信じることや、失敗を恐れないこと(そもそも失敗という言葉自体、トレーニングではそれほど使うことがなかったが)というのはトレーニング中に学んだことだが、自分の身体を整えて、ある程度相手に対してスペースを作ることで、自ずとどういったことをしたらいいのか?がわかってきた点である。
クライアントに対して施術することで、以下の3つ学んだことがあった。
第一に、自分の身体を整えることの重要性。そうすると、五感を通じて情報が受信できる状態になっているため、必要とする情報が入ってくる。そして、自分の身体を整えるためにある程度時間をとること(これもスペースといっていい)も大切である。
第二に、目的を明確にすること。このセッションは何を目的にするのか?を意識した上で、戦略(具体的に何をするのか?)が来る。戦略や技術に頼ってしまうと、何をやりたいのかを見失ってしまう。実際に、私自身は経験しなかったが、自分がセッションを見学していた時に、目的からそれたことをしていて先生からアドバイスを受けている生徒がいた。
第三に、やってみなければわからないことがあるということ。人はそれを「失敗した」や「正確にやらなければならない」というかもしれない。やってみて試行錯誤を繰り返すことによって技術が向上するのだが、「せねばならない」と考えるのではなく、自分の中にスペースを用意し、相手を受け入れる体制があってそれが可能となる。
今回の2人のクライアントは、それぞれ1回のみのセッションであった。Phase IIIでは、2人のクライアントを受け持って、10回のセッションを1日おきに行うことになる。今回のPhase IIの33日間で学んだことを元に、ぜひ自分のレベルアップを図っていきたいものだ。
2026年8月の注記
ここで初めて、二度と会わない相手に施術している。それまでの8週間、施術の相手は毎日顔を合わせる同級生だった。生徒A→生徒B→生徒Cとループを回す形も、翌日には立場が入れ替わることを前提としている。ところがこの2日間のクライアントは外部の人で、担当は1回きり。次回がない。
このとき目的(goal)と戦略(strategy)は、自分で決めたものではなかった。セッション1のテーマは「呼吸を調える」と決まっており、定法通りの手順があり、それをTeacherまたはAssistant Teacherに説明してから施術に入る。基礎トレーニングは10回シリーズという決まった順序を学ぶところから始まる。目的は構造の側から与えられていた。
11年後のアドバンスト・トレーニングで扱われたのは、その目的自体を組み立てる作業だった。クライアントは何を期待しているのか。どの原理が不足しているのか。どのTaxonomyから働きかけるのか。この3つを見て個別のセッションを設計する(「フレームワーク思考で個別セッションをデザインする」参照)。決まった順序を外したところで何を手がかりにするか、という問いである。
この回の記述で先に現れているのは、手順ではなく態度のほうだった。自分の身体を整えると五感を通じて必要な情報が入ってくる。戦略や技術に頼ると何をやりたいのかを見失う。やってみなければわからないことがある。いずれも、目的が与えられている状況で書かれた言葉でありながら、目的を自分で立てる段階になったときに効いてくる種類の観察である。1回で終わるセッションをどう設計するかは、現在の実践でも続いている課題で、その最初の記録がここにある。






