生徒同士による10回セッション、2人のクライアント・セッションも無事おわり(「クライアント・セッション」参照)、2014年11月25日にミュンヘンのMarienplatzの飲み屋で打ち上げを行った。
非常に充実した33日間のトレーニングを締めくくるにふさわしい1日となり、翌日の最終日へ。
最終日(2014年11月26日)の午前中はTeacher、Assistant Teacherと3人で最終面談も行った。

中間面談(「中間面談」にまとめた)のときに、以下の7つの項目でどのように能力を伸ばしていったらいいのか?を話しあった。
- Clarity about the goals and structures of individual sessions(各セッションの構成および目標設定についての理解)
- Pattern recognition and body reading(身体のパターン認識+身体観察の能力)
- Quality of touch(手技の質)
- Quality of body use(手技の際の身体の使い方)
- Contact and relationship with clients(クライアントとの間の接し方と関係)
- Timing and orchestration of sessions(セッションのタイミングと構成法)
- Openness and attitude for learning(オープンな学習能力をもっている)
それから4週間が過ぎたことになる。今回は全て5段階評価で4(5がexcellentで1がlowest score)以上で、素晴らしい評価をいただいた。
先生がコメントできる項目は2つあった(中間面談とフォーマットは同じ)。
Are there other specific areas in which this student shows ability?(生徒が能力を発揮できるのはどの方面か?)
Great progress in all subjects. Marked improvement in touch and how you can use this in bringing strategies towards goals. Much much more centered and valuing your own experience.
日本語訳:すべての項目で進歩が見られる。特に施術の技術と、目的と戦略をどう繋げるのか?については大きな進歩が認められる。土台を築きつつ、自分の経験から物事を判断しているところがいい。
Are there other specific areas in which this student needs support?(生徒にサポートが必要なのはどの方面か?)
Continue to give you and your client time to allow the work to travel through. This will allow your felt-sense to support you while you work.
日本語訳:自分やクライアントにスペースを与えることでセッションを行いやすくなる。さらに、それによりfelt sense(身体感覚の一つ)に磨きがかかり、セッションを行う際に手助けになると思う。
特に印象的だったのは、集中して施術に取り組むよりも、すぐに集中が切れて違う方向へ目が向きがちだったのが、クライアントや施術を受ける人に対して集中して取り組むための時間やスペースを自分の中で作ることができるようになった、という点への評価が非常に高かったことだった。
ロルフィングという一つのボディワークは身体に対して施術を行うが、どうしても視覚に頼りがちである。大切なのは、自分の身体を整えること。そうすると、五感を通じて相手の身体の状態を捉えやすくなる。
なぜならば、第一に、自分の中に余白(スペース)が出来て、相手に何が必要なのか?が自ずと見えてくるからだ。興味深いことに、時間をかけると徐々に雑音がなくなってきて、すっと川が流れるように自分の心が落ち着いてくる。まるで瞑想しているかのように。それができると、クライアントと向き合う準備が整い、相手に対してオープンになっていく。
第二に、相手に対して決めつけることをやめることができるからだ。頭というのはすぐに働き、雑念として邪魔する。「こういう人間だから、こういった施術が重要」といった形で考えが思い浮かぶ。だんだんと時間を落ち着かせていくと、相手に対してjudgmentalになるのではなく、初心者のマインドで見ることができる。禅師の鈴木俊隆の『Zen Mind, Beginner’s Mind』の
In the beginner’s mind there are many possibilities, in the expert’s mind there are few.
(初心者の心には多くの可能性があるが、専門家の心には可能性がほとんどない。)
の言葉は、これをよく表していると思う。
これからPhase IIIに進むにあたって、こういった側面を大事にしながら歩んでいきたい。
2026年8月の注記
最終面談でサポートが必要な項目として書かれたのは、一文だけだった。自分とクライアントに時間を与え、ワークが通り抜けるのを許すこと。そうすればfelt senseが施術中の自分を支えてくれる。技術の不足でも知識の不足でもなく、時間の与え方が唯一の課題として指摘されている。
11年後のアドバンスト・トレーニングで前半の最大の主題となったのが、セッションの中でNeutralであるとはどういうことか、だった(「「ニュートラル」をどう育むか?」参照)。そこで挙げられた育て方は3つ。クライアントの身体に自分の手を形作ってもらうShape the Hand、背後の空間へ意識を広げるFinding Back Space、そしてHaraに繋がること。いずれも、何かをしようとする力を一度手放す方向を向いている。
2014年の指摘とこの3つは、同じことの言い換えである。時間を与えるとは、待つことではなく、待てる状態に自分を置くことを指している。当時の本文にも、時間をかけると雑音が消えて心が落ち着き、まるで瞑想しているかのようになる、と書かれている。この記述は、Finding Back Spaceの説明——「いま・ここ」に意識が偏ると身体が縮こまるため、意図して背中側の空間を感じる——とほとんど重なる。
ただし、2014年の時点では、これは自分の課題として指摘された事柄だった。それが11年後には、Neutralという名前を与えられ、育て方の手順を持ち、Intention(意図)とIntentionality(志向性)の区別を伴う概念として現れている。指摘が概念になるまでに11年かかった、とも言えるし、指摘の時点ですでに全部が含まれていた、とも言える。felt senseが自分を支えてくれる、という言い方には、施術者が主体ではなくなる方向がすでに示されていた。


