セッション4、5、6は、骨盤の上(大腰筋、仙骨、背骨)と下(骨盤底、内転筋)を通じて、中心軸を調えていく。4は内転筋から骨盤底付近、5は大腰筋や横隔膜、6は背骨と仙骨である。
セッション4〜6の場所については下記の図を参照されたい。一つ抜けている箇所がある。
それは頭・顔である。セッション7では頭・顔と身体との関係を扱う。
中心軸は頭の頂上まであるので、ある意味セッション7は中心軸の意識を取り戻す最終セッションである。ロルフィングが他のボディワークと異なる点としては、口や鼻の中にも施術を行い、筋膜の緊張を緩めるという点である。
姿勢には3つの要素があることを本ブログで触れた(「姿勢の3要素〜視覚、内耳感覚、筋感覚」を参照)。顔・頭への施術は、重力のバランスを調整する内耳感覚に働きかけることが大きな目的の一つとなる。
これまでの身体観察から見えてきたテーマは、大腰筋と胸付近の緊張、そして頭をいかに力を抜いて動かすかである。難しいのは、身体でわかっていても、頭ではなかなか消化できない点である。そのためセッション4〜7の積み重ねで深層にある筋膜を一つ一つ解放していくことで、課題を解決していった。
セッション6では、仙骨の動きを意識することで大腰筋の緊張が緩むのがわかってきた。そこでセッション7では、まず座った状態で坐骨の広がりを意識した。その結果として大腰筋の緊張が取れ、ぶら下がっているという感覚が少し得られた。
仰向けになり、仙骨や首の力を抜いた施術を行った後、胸付近(鎖骨、胸骨)や腕の筋肉(橈骨、尺骨付近の筋膜)の緊張を抜いていった。驚くべきことに、腕の筋肉の緊張を解いていくと、胸付近の緊張も解けていった。胸と肘は近い位置にあり、それが身体に何らかの影響を及ぼしているのだろうと推察された。
その後、顔の表面にある筋肉を緩め、口腔内とその周辺(顎関節、上顎の歯の奥にあるドーム、側頭筋など)の筋膜や鼻腔内、頭頂付近を緩めていった。全般的に、左のほうが右よりも力が抜けるのに時間がかかった。
最後に、腹部が締め付けられた感があったため、坐骨がしっかりと椅子についた状態を意識し、仙骨を通じて大腰筋の力を緩め、胸先を意識したまま椅子から立った。胸付近に手を置いて胸の力を抜き、頭が身体の上に乗っていることに意識を向けた途端、全身の力が抜けていった。また坐骨と胸付近のつながりを意識すると、バランスが調う感覚もあった。
興味深いのは、上顎の歯の奥にあるドーム構造の部分が胸の引っ張りを軽減するのに役立ったことである。おそらく口腔内の筋膜が、内耳感覚やバランスを整えることへ影響を及ぼしたのではないかと思う。
セッション7で、4〜7と続いた中心軸のセッションも終わる。ここからは、上下、左右、前後、そして中心軸へと意識を向けてきた1〜7を統合する、セッション8〜10になる。これから先は、セッション8以降について触れていきたい。
2026年8月の注記
この記事は、口の中から身体を扱うという経験の、最初の記録である。
セッション7では口腔内の筋膜——顎関節、上顎の歯の奥にあるドーム、側頭筋——に触れる。そしてこの記事は、そのドーム構造が胸の引っ張りを軽減したことを興味深いと書いて終わっている。当時は、施術の一場面としての観察だった。
歯科の側から、同じ場所へ
この記事から7年あまりを経た2022年7月、札幌の熊谷歯科医院で歯の噛み合わせ治療を受け始めた。マウスピースを作り、以後、定期的なメンテナンスを続けている(「姿勢を良くする噛み合わせ歯科治療⑥〜治療開始から約2年〜内臓の位置」参照)。
治療では、後頭骨を支えながらマウスピースにレジンを少しずつ盛り、噛み合わせの高さを調整していく。盛るたびに首の可動域が変わり、やがて楽になる高さが出てくる。2年の経過の中で最も変わったのは、肩こりと首こりがほとんどなくなったことだった。
セッション7で筋膜の側から触れた場所を、7年後に咬合の側から扱うことになった。入口が違うだけで、扱っている構造は重なっている。
離れた場所がつながる
この記事には、腕の筋膜を緩めると胸の緊張が解けた、という記述がある。当時は、胸と肘が近い位置にあるからだろう、という推測にとどめていた。
噛み合わせ治療で現れたのは、もっと離れた連関だった。噛み合わせによって肝臓が下へ引かれ、ねじれが生じている。レジンを盛って高さが変わると、そのねじれの感覚が消える。さらに、肝臓の位置のねじれが鉄の不足に関わっているのではないか、という指摘も受けた。
2014年には腕と胸という数十センチの距離に驚いていた。それが、頭部と内臓という距離で現れたことになる。身体のどこかが、離れた場所の条件になっている。この記事の「何らかの影響を及ぼしているのだろう」という一文は、その入口だった。
頭は中心軸の上端にある
3要素——視覚、内耳感覚、筋感覚——のうち、セッション7が扱うのは内耳感覚である。内耳は側頭骨の中にあり、噛み合わせは頭蓋を構成する骨の位置関係に直接関わる。
この記事は、口腔内の筋膜が内耳感覚やバランスへ影響を及ぼしたのではないか、と推測して終わっている。その推測は、後年、歯科治療という別の系統から確かめられていったことになる。
中心軸は頭の頂上まである、とこの記事は書いた。上端の条件が変われば、その下の全体の条件も変わる。
変化の速度
一つ違うのは、時間である。セッション7では、一度の施術の中で胸の引っ張りが軽くなった。噛み合わせのほうは、2年かけて少しずつ高さを調整し、それでもまだ途中の段階だと書いている。
10シリーズが順序を持った積み重ねで課題を解いていくように、身体の変化には、それ自体の速度がある。この記事が「身体でわかっていても、頭ではなかなか消化できない」と書いたことと、同じ主題である。







