いよいよ最終セッションの説明に入る。セッション10では身体の全体をみて施術を行っていく。セッション8、9、10で述べたように、10回のセッションを通じて学んだことを自分の生活に取り入れて、クライアントの自立性を促すことがもっとも大切となる(「統合セッション」参照)。
セッション10では、残したところの施術を行うというよりも、スペースを残し、あとは時間をかけて重力によって自然と身体が整うのを促すという視点が大事になる。
セッション8、9で行った施術を元に最後に行う必要のあるもの、もしくはこれから先何を学ぶのか?という視点も大事だが、セッション10は、全体を締める(クロージング)ことに焦点が置かれる。
施術も、下肢、骨盤付近、胴体、上腕、首、頭とすべての場所の筋膜を緩めることを行うが、それぞれ関連付けて行う。例えば、下肢と頭、胴体と下肢、首と骨盤、そして顎を緩めながら、全身を緩める意識を整えるなど。そのことで、最終的に有機的なつながりをもつことが可能となる。
私の課題は、左の内耳感覚のバランスをどう整えていくか?あるいは左のアンバランスをどう軽減させるか?がポイントであった。全身に関連づけて施術を行った後、坐骨から頭への意識、首から頭にかけて油が頭の左から注入されたような感覚をもって歩くこと、緊張するとすぐに顎が固まる習慣があるので、顎を緩めながら頭を緩くすることを、自分の身体に覚えさせた。胸の詰まり感がとれたこともあり、頭の力を緩めることに専念できるのがいい。内耳感覚にいい施術は、その後いくつか覚えたので今後自分の生活の中に取り入れていきたいと思う。
これでセッション10が終わった。終わったあと日本酒で祝杯となった。自分はお酒に弱いのですぐに赤くなったというのは言うまでもない。
8週間のうち、7週間が過ぎ、Phase IIで密に学んだ仲間と別れるまで3日間。最初は迷宮に入り、どう施術や身体を観察していったらいいのか?全く途方にくれるところから始まった。
生徒8名、一人一人が10回のセッションを受けることによって大きな変化があった。セッションの深みや安全な環境の下、一人一人が正直にそれぞれの経験をシェアできたので、中には感極まって涙を流す人も一人ではなく複数いた。施術を受けたことによって新しいパターンと過去の古いパターンの狭間で苦しんでいる人も見受けられた(「古いパターンと新しいパターン」参照)。そこで感じたことは、身体を整えるということは、心を整えることでもあるということ。今や一緒になってゴールラインに近づいたというイメージだ。無事に8人とも落第せずに先に進めたというのは大きい。また幸運なことに、彼らとはPhase IIIでも一緒になるので心強い。
トレーニングも3日間を残すところまで来た。外部からクライアントを呼んで施術を行うのは初となる。Phase IIIは一人のロルファーが2人のクライアントを担当して10回シリーズを担当する。その間、どのような形で自分がレベルアップしていくのか?本当に楽しみだ。本ブログでは、その模様はもちろんのこと、最新の科学でロルフィングがどこまでわかっているのか?についても迫っていきたいと思う。
2026年8月の注記
10回シリーズが終わった時点で、左の内耳感覚のバランスは整っていない。この回の記述は、そのことを隠していない。「原因が不明だが、どこまでロルフィングで対処できるのか?」——セッション9の回でそう書き、セッション10を終えてもなお、内耳感覚に効く施術をいくつか覚えた、これから生活に取り入れたい、という形で終わっている。
肩帯・骨盤帯の回、セッション9の回、そしてこの回と、同じ左右差が三度続けて現れている。首コリは軽減し、胸の詰まり感は消え、骨盤帯と肩帯を意識せずに歩けるようになった。それでも内耳感覚の偏りだけが残った。10回シリーズには終わりがあり、身体の課題には必ずしも終わりがない。
11年後、この左右差は別の経路から扱われることになった。2025年12月からのSSP(Safe and Sound Protocol)で、左右の内耳のバランスが身体感覚としてはっきり分かるようになった。中耳の筋肉に働きかける介入が、2014年に手作業で追いかけていたものに届いた形である。
ここで残しておきたいのは、解決の記録ではなく、解決しなかったことがそのまま書かれているという事実のほうである。10回で完結する構成を学びながら、自分の身体は10回では完結しなかった。この記述が11年間残っていたからこそ、2025年に何が変わったのかを言うことができる。セッション10が「スペースを残し、あとは時間をかけて重力によって自然と身体が整うのを促す」回であることと、この結末は無関係ではない。時間をかけるという言葉の、実際の長さがここにある。


