【R#54】Phase III(3)〜Body Readingと情報の寡多

ロルフィングのPhase IIIトレーニングの最初の一週間が終わった。最初の2日間は今まで習ったことの復習、後半の2日間は私の担当する2人のクライアントがオフィスを訪れ、セッション1の施術を行った。金曜日は休みなので4日間。久々のロルフィングの授業と施術であったが、本当に楽しく時間が過ぎていったように感じた。
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本コラムで述べたようにPhase IIIの目的は、Phase IとIIで得られた知識をどう実践にいかすのか(各生徒は2人のクライアントを担当する)?そして知識を使う際にどういったフレームワークを使えばクライアントに対して役立つのか?にある(Phase IIIについては【RolfingコラムVol.51】でも触れた)。
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ロルフィングのセッションは、10回シリーズよる構成されていることは以前触れた(【RolfingコラムVol.10】参照)。Phase IIの時は、10回シリーズを各回順番に理論と実践で学ぶ。今回は一連の流れを経験した上でのPhase III。10回シリーズ全体から見て、各回どのように臨んだらいいのか?力点が置かれることになる。そして、各セッションで基本となるのが身体観察(Body Reading)だ。
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Body Readingについては、Phase IIでは各回、基本的な観察法を学んできた(例えば、セッション1でついてPhase IIで学んだ内容については【RolfingコラムVol.12】参照)。Phase IIIでは、Body Readingに対し

  1. その人の良さ・長所(英語ではResourceという言葉を使った)の見方
  2. 得られる大切な情報とそうでない情報をどう峻別し、絞り込むのか?

について学ぶ。
考えてみれば、病院や整骨院、オステオパシーやホメオパシーに通ってきた人たちは、身体のここが悪い(腰痛、後弯症(Kyphosis)、左右のバランスの差異等)ということを専門家から言われてきて、悪いところを言われていることに慣れてきている人たちが主となる。その人たちに悪いところを指摘しても、新しい発見もないし解決策にもつながりにくい。
良さについて例を挙げると、足は地面にしっかりとついて身体を支えているや胸呼吸(又は腹式呼吸)はしっかりと行えている等である。つまり実際にできているところから注目し、どのように改善していったら、全体としていい方向へと改善していったらいいのか?を考えていく。私を含め、欠点を指摘する言葉遣いから直される体験をした。
Holding The Sky
短所に目を奪われると、その人に対してレッテルを張ることにつながっていく。ある側面しか物事が見れなくなるため、必要とする情報を見落とす可能性がある。実際は、クライアントは問題を抱えているとはいうものの、健康体で動けている人が大多数。その点を忘れてはならないと思う。
また相反することを述べている可能性もあるが、目に頼り身体を観察すればするほど情報量が増えてしまい大切なものを見失ってしまうこともある。そこで強みだけではなく、今まで各回で学んだ手順のうち、優先順位をどうつけるのか?つまりどの部分を施術し、どの部分を施術しないのか?Jörg先生は、Body readingで使うことができるフレームワークを紹介してくれた(本コラムでも別途取り上げる)。
情報の絞り込みを行うと、身体の施術も最小限になる。最小限だからといって効果がないというわけではない。クライアントは初めてロルフィングという施術を体験することになるわけで、身体にあまりにも多くの情報を与え過ぎると情報に圧倒されてしまい、自分の身体内でどのような変化が起きているのか?がわからなくなってしまう可能性があるからだ。Jörg先生はそれを’Less is More’という言葉を使ってそれを説明していた。
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Jörg先生がクライアントに対して行った1回目のセッションでは、最小限の施術しか行っていないにもかかわらず、身体の顕著な変化があったことを身を以て観察することで、Less is Moreの大切さは学ぶことができた。
私自身にとってLess is Moreという観点はPhase IIIのトレーニングに臨むにあたって学ぶべき一つの大きな主題になりそうだ。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka