Bone Work – Sharon Wheeler(3)〜3日目まで:Sharonの話(1)

2016年11月12日、Bone Workも4日目を迎えた。

過去の3日間の模様については、下記に紹介した。

ここで、3日間にわたってSharon Wheelerから聞いた話が興味深かったので、箇条書きで紹介したい。

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  • 1)人は、予期せぬ事故によって今の身体の構造を取るようになるが、原因がわかると身体がそれに反応をして、より良くなる方向へ進む。Idaのセッションは本当に痛かったらしい(SharonはPretty Intense、Put you into next dimension(違う次元に持って行かれる)という言葉で表現)。それにもかかわらず、Idaは結果を出すのでクライアントが集まったという。そして、事故の原因がわかるケースだと、ほとんど良くなったという。
  • 2)Sharonは、身体の不調の原因についてクライアントから情報が得られると、解剖学で書かれた筋肉の名前で意識するのではなく、衝撃を受けた物体(例えば、トラック、馬の脚)を意識するという。それが身体から離れていくということを念頭に置くと、良くなっていくという。
  • 3)Idaは、足をしっかりと施術すると肩が落ち、肩が全体的に広がるという。この時に、IdaはSession 2を一番最初に持ってきたのではないか、ということが話題となった。Sharonはこれは事実かもしれないと述べた上で、Session 1はマーケティングの目的で作られたのではないかと言う。というのも、足というのは人によって感じられない場合もあるので、Session 1により身体を感じることができる「呼吸を調える」セッションを取り入れたと推測している。
  • 4)ロルフィング10回シリーズの間隔を空けることに関して。若い人は代謝がいいので2週間に一度を目処にセッションをするといいが、年長者の場合には1か月あけるといいとのこと。Sharonの経験では、10回を何度か受ける場合には、その間隔を6か月にするといいと言っていた。
  • 5)セッションを終えると「疲れ」を感じることがある。使われていない筋肉が使われる可能性がある。それが動き出すのには1〜2週間を要する。セッションが終わった時は、「疲れ」にもう少し注目したほうがいい。
  • 6)Idaがどのようにして10回セッションを思いついたのか?をSharonに聞いたところ、Idaは自分の過去について語ることが一切なかったと述べていたという。Sharonはそれを一言、Divine Inspirationと表現していた。
  • 7)IdaがEsalen Institute(経緯については「エサレン研究所(1)〜心理学とボディワーク」「エサレン研究所(2)〜心理学の大衆化と雰囲気」参照、以下Esalen)で教えていた際、Fritz Perlsに招かれたことは知っていたが、Idaは生まれ育ったNew Yorkが好きだったため、どんなに周囲がEsalenに住んで欲しいといっても、定住するのは難しかったそうだ。
  • 8)Moshe FeldenkraisをEsalenに招いたのはIdaである。IdaとFeldenkraisは仲が良く、対立することなくお互いを認めていたそうだ。FeldenkraisはロルフィングをIdaはFeldenkrais Methodをそれぞれ受けていたそうだ。アレクサンダー・テクニークもIdaがEsalenにいた時に知られていたが、アレクサンダーはすでに亡くなっていて、それほどの交流はなかったという。
  • 9)Esalenは、Dick PriceとMichael Murphyの二人によって作られたが、Michael Murphyの一族は大金持ち。Murphy一族が土地を購入してそこにEsalenを作ったが、Michaelの当初の興味は本屋の経営だったとのこと。また、Michaelは親のしつけが厳しかったことから、その思い出の地であるEsalenに対して嫌悪感を持っていたらしい。
  • 10)70年代のEsalenは様々な人が出入りし、スター・ウォーズのベースとなった神話学を研究したジョーゼフ・キャンベルも含まれていたという。ジョーゼフ・キャンベルは人格者で、プレゼンも彼が世界各地を旅した写真をメインに行われていて面白かったという。
  • 11)IdaがBoulderに本部を移したのは、ロルフィングを教える使徒としてEmmettを指名した際に、Emmettが要望したため。実は、IdaはNew Yorkを考えていたらしい。

2026年8月の注記

この回に記録されているのは、10回シリーズの起源に対する疑いである。Idaは足をしっかり施術すると肩が落ちて広がると言っていた。だとすれば、Session 2(足)を最初に置いていたのではないか。

Session 1(呼吸)は、足を感じられない人がいるために後から導入されたのではないか——Sharonはそう推測する。手順の順序が、身体の論理ではなく、受け手の感じやすさから決まったのではないかという見立てである。

2年前、ロンドンのメンタリングでAlan Richardsonが語ったことと重なる。セッション1は呼吸を調える回であり、同時に関係を構築する過程でもある。次回以降どう進むかを話しながら行うと、クライアントが再び来たくなる。ある種のマーケティングだが理にかなっている、と当時の記事に書いている。異なる二人が、同じ回について同じ角度から話していた。

11年後、この疑いは実践の側で解かれることになった。2025年のアドバンスト・トレーニングで扱われたのは、決まった順序を外したところで何を手がかりにセッションを設計するか、という問いだった。クライアントが何を期待しているか、どの原理が不足しているか、どのTaxonomyから働きかけるか。手順の起源を疑うことと、手順を外して組み立てることは、同じ問いの両端にある。

ただし、Sharonの方法はそのATとも異なる。身体の不調の原因について情報が得られたとき、彼女は解剖学の筋肉の名前で意識しない。衝撃を与えた物体そのものを意識する。トラック、馬の脚。それが身体から離れていくことを念頭に置くと良くなっていくという。分類の体系で観点を選ぶのではなく、出来事そのものを扱う。ATのTaxonomyとは正反対の方向を向いている。

もう一つ、この回にはEsalenをめぐる人脈が記録されている。IdaがMoshe FeldenkraisをEsalenに招き、二人は対立することなく互いを認め、互いのワークを受けていた。この記述には後日談がある。

2017年から2019年にかけて受けたRolf Movementの本トレーニングで、教師の一人だったRita Geirolaはフェルデンクライス・メソッドのプラクティショナーでもあった。Rolf Movementとの違いを尋ねたところ、それほど違いはない、という答えが返ってきた。

1970年代のEsalenで隣り合っていた二つのワークは、40年後も隣り合っていた。Idaが「心理学というものはなく生理学しかない」と語った時代から、身体を扱う方法はいくつも枝分かれしたが、根のところで分かれていなかったものがある。Sharonから聞いたこの話を、2年後に別の教師から実地で確かめることになったのは、偶然というより、そもそも分かれていなかったということなのだと思う。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka