2018年2月4日(日)。ワークショップも最終日を修了した。参加者に別れを告げ、DBでミュンヘン国際空港へ移動。経由地のパリ・シャルル・ド・ゴール国際空港を経て、翌日の午後8時、羽田国際空港に到着した。

次回のPart 3までに、3人1組で宿題が出されている。Rolf Movementに関するケーススタディのシェアである。メールやSkypeでスウェーデンとロシアとの間でやり取りをするのが、本当に楽しみだ。

Rolf Movementのトレーニングも21日間を過ぎ、いろいろと見えてくるものがあった。内容は実践的である。
クライアントと生徒同士による、3回のRolf Movementセッションを経験した。ロルフィング10回シリーズとは異なり、クライアント一人一人の個性によってセッションを組み立てる必要があるので、リスクを冒して違う方法を取り入れることが求められた(詳細は「いい意味での混乱とTonic Functionについて」「直感と身体観察を通じて見えてくるもの」参照)。

そうはいうものの、Rolf Movementの先生がどのようなフレームワークで考えているのかは、やはり知りたい。
8日目に、スイスのRolf Movement InstructorであるFrance Hatt-Arnold先生(以下France)から、Rolf Movementについての考えの紹介があった。
Territorial Body(身体の部位。ロルフィングの身体部位に相当)と Body of Action(身体の動き。Rolf Movementで扱う動き)に分けて考えると、Rolf Movementのセッションを組み立てやすいという。

具体的には、次の6つが挙げられる。
- 背骨の前にある内臓(Visceral)に対しては、Articular(身体内にスペースを作る)と musculo-skeletal(筋骨格的)な動きを取り入れる。
- 自分の身体内で意識できていない人(interoceptive)に対しては、Proprioceptive、日本語でいう固有感覚が得られるような動きを取り入れる。手足などの身体情報に基づいて制御される知覚、あるいは身体位置の知覚のことである(詳細は「心理的、知覚的な変化〜身体地図」参照)。
- 身体内に空間や奥行き(トレーニングではVolumeと表現)を感じるためには、空間に対して2方向性を感じさせるような Vectorial Space と、身体が共同的に動くための Coordination 的な動きを取り入れる。例えば、背骨と胸骨の間の空間、後頭部と前頭部との間の空間などである(2方向性については「5原則」参照)。
- クライアントとの境界線(Border)、開拓(Frontier)、安全性(Security)が求められる場合には、Orientation、つまり2方向性を動きに取り入れる。
- それ以外の身体の各部位(Territory of Flesh)へのアプローチの場合には、Peripersonal Space、身体周囲の空間に対して動きを取り入れる。
- 身体が自分のものであるという感覚(Sense of belonging)へアプローチする際には、周囲の外部環境が関わるので、安全で安心できるような動きを取り入れる。

3回目のセッションが始まる前には、次の質問が投げかけられた。
- 3回を通じたテーマは何だったのか(What was the theme of your client?)
- テーマのどの段階にいるのか(Where are you with these themes?)
- クライアントに対してどのようにクロージングに持っていくのか(How do you imagine you want to bring closure with your client?)

この質問によって、どう組み立てればいいのかが見えてきた。Franceは、Territorial BodyとBody of Actionから、うまく解説してくれた。

Rolf MovementにはHubert GodardのTonic Functionの影響があるが、視覚(Visual system)、内耳感覚(Vestibular system)、筋感覚(kinesthetic system)の3つの情報収集系がバランスよく働くことも大事である。次回、そのことについて触れたい(「3つの情報収集系のバランスを整えること」参照)。
2026年8月の注記
この回に、当時の自分が何を求めていたかが書かれている。
Rolf Movementの先生がどのようなフレームワークで考えているのかは、やはり知りたい。
21日間が過ぎた時点である。手順が渡されず、問いだけを渡され、いい意味で混乱していると言い合っていた。そのうえで、教える側は何を持っているのかを知りたくなった。
そしてFrance先生が、8日目に枠組みを示した。
Territorial Body と Body of Action。身体の部位と、身体の動き。前者はロルフィングが扱ってきたもので、後者がRolf Movementの領域である。この2つに分けて考えると、セッションを組み立てやすい。
そこから6つの対応が並ぶ。
- 内臓には Articular と musculo-skeletal。
- 自分の内側を感じにくい人には Proprioceptive。
- 空間や奥行きには Vectorial Space と Coordination。
- 境界や安全には Orientation。
- その他の部位には Peripersonal Space。
- 身体が自分のものだという感覚には、安心できる動き。
分類である。
9年後、同じ形のものを受け取った。Taxonomyである。構造的・セグメント的、バイオメカニカル、機能的、心理生物学的、エネルギー的。今どの観点から働きかけるかを、体系の側から選べるようにする枠組みだった。
2つは似ているが、分け方の軸が違う。
Taxonomyは、身体をどの層から見るかで分けている。構造か、機能か、神経系か、場か。見る側の観点の分類である。
France先生の6つは、相手が何を必要としているかで分けている。内側が感じられないのか、空間が足りないのか、安全が要るのか。相手の状態の分類である。
そして、それぞれに対応する動きの種類が決まっている。観点を選ぶのではなく、必要に対して手段を当てる。
どちらが優れているという話ではない。ただ、Rolf Movementのほうが、より処方に近い形をしている。
思えば、これは手順を渡さない課程だった。その中で唯一、対応表に近いものが出てきたのが、この8日目である。
しかも、それは求められて出てきた。当時の記録に、やはり知りたい、と書いてある。
11年後の視点で言えば、あの時期の自分には枠組みが必要だったのだと思う。手順がないことに耐えられるようになるには、代わりの足場が要る。問いだけでは足りない段階があった。
その足場が、あとで外れる。2025年のアドバンストで最も学んだのは、5つの原理でもTaxonomyでもなく、在り方だった。分類は持っているが、セッションの場では前に出さない。
分類を必要とする段階と、分類を持ったまま使わずにいられる段階がある。
もう一つ、この回には3回シリーズの締めくくりについての問いが記録されている。
3回を通じたテーマは何だったのか。テーマのどの段階にいるのか。どのようにクロージングに持っていくのか。
クロージングという語が、ここで出てくる。
9年後、それはCLOSUREという原理として受け取ることになる。5原理の一つで、プロセスに適切な終わりを与えることである。Sharon Wheeler先生も、施術の際にすぐ変化を起こさず、部位を行ったり来たりすることで、クライアントが変化を受け入れやすくなると語っていた。
終わり方を設計する。3回でも、10回でも、1回のセッションでも、同じ問いが立つ。
Franceの3つの問いは、その最初の形だった。
