はじめに
こんにちは。渋谷でロルフィング・セッションを提供している大塚英文です。
年末年始、日本へ一時帰国中のドイツ・フランクフルトで活動中のロルファー・鎌田孝美さんとお会いする機会があった。再会を機に、2016年以来の交換セッションを3回(12月14日、19日、26日の合計3回)を行った。
参考に、下記の写真は、クリスマス(12月25日)にて、集中内観を提供している信州内観研修所(長野県・安曇野)の中野節子先生と石井光先生、孝美さんと再会した時のもの(過去に孝美さんと一緒に内観を受けたことがあり、ブログにもまとめた)

今回の再会では、事前に「Safe and Sound: A Polyvagal Approach for Connection, Change, and Healing(邦訳なし)」(Stephen W. PorgesとKaren Onderkoとの共著)を拝読。内容に感銘を受け、孝美さんのもと、同書の「Safe and Sound Protocol(以下SSPと略)」を受けることになった。2025年12月22日から、毎日SSPの音源を聴いている。

今回は再会で最も印象的だったSSPを中心にまとめたい。
孝美さんとの再会〜交換セッション
お互いにセッションを提供し合う「交換セッション」では、私はエネルギーワークと、筋骨格のワーク(Structural Work)を提供。孝美さんからは、SSPの音源を拝聴するために必要な首のワークを中心としたセッションとなった。
さすがドイツでご活躍中の孝美さん。ガッツリとしたロルフィングのセッションを体験することができしっかりと身体が整った感覚があった。
今回気になったのは、アシュタンガヨガで、後屈のポーズを行った際に怪我した左肩とブラジリアン柔術で違和感を感じるようになった左の上腕だった。いずれも、孝美さんのセッションの構造的にアプローチする方法のおかげで、可動域が広がり、動きやすくなった。
後、2025年10月末の離婚のこともあり、首の違和感は、交換セッションで緩和することはなかったが、これは後述するように、SSPの音源を聞くことで徐々に解放に向かっていると言ってよさそう。
SSPの音源拝聴を開始
2回の目の交換セッションの後、2025年12月22日にSSPの視聴を開始。SSPを拝聴するには、iPhone/androidのアプリを事前にダウンロード。SSPプロバイダーにライセンス料を支払うことで、アプリ内の音源を視聴することができるようになる。音源には様々なジャンルがあるので、飽きさせない内容になっている。
1週間体験後、感じた点として、
- 左右の内耳のバランスが、頭で考えるようなバランスではなく、身体感覚として細かく分かったこと
- 感情や記憶が浮上しても、巻き込まれずに通過させられる余裕が生まれていること
- 過去のトラウマの記憶が徐々に浄化されていくという感覚があること
- 首や下顎に筋肉の緊張が、トラウマによって引き起こされ、徐々に解放されている感覚があること
等、色々と身体の変化があった。
以下、SSPについて、Porgesの本及び、孝美さんからの内容を中心に紹介したい。
SSPとは何か
SSP(Safe and Sound Protocol、直訳すると「安全と音の手順」の意味)とは、Porgesが提唱したポリヴェーガル理論に基づき、特別にフィルターをかけた音楽を用いて自律神経系を調整する方法だ。
ポリヴェーガル理論では、自律神経系を
- 交感神経(闘争/逃走)
- 副交感神経
- 背側迷走神経(シャットダウン・フリーズ)
- 腹側迷走神経(社会的関与・安全)
から構成すると考える。
SSPの主目的は、音源を聞くことで、聴覚からのアプローチで、腹側迷走神経系(Ventral Vagal Complex)を強化することにある。
なぜ「音」で神経系が変わるのか
SSPの鍵となるのは、中耳筋(アブミ骨筋・鼓膜張筋)にある。
自律神経系から見ると、
- 闘争/逃走、あるいはフリーズ状態では
→ 中耳筋が慢性的に緊張または不活性になる - その結果
→ 人の声が聞き取りづらくなり
→ 環境音が「ノイズ」になる - SSPは
→ フィルターをかけた音楽によって中耳筋の弾性と可塑性を回復させる
ここで重要なのは、これは「聴覚の訓練」ではなく「神経系の安全化」であるという点である。
孝美さんによると、SSPは臨床現場において、特に次の領域で用いられて、成果を上げているそうだ。
- ASD(自閉スペクトラム)
- ADHD / ADD
- チック
- 感覚過敏
- 睡眠障害
- 不安・抑うつ
- 慢性疲労・脳疲労
発達障害特性を「神経系の適応」として捉える
ポリヴェーガル理論の視点では、発達障害特性は「性格」や「努力不足」ではなく、
安全を感知しにくい神経系の適応状態
として理解される。
SSPでは、
- 行動を教えない
- 社会性を訓練しない
- 認知を書き換えない
その代わりに、社会性が自然に立ち上がるための神経的土台を整える。これが、発達障害系との相性が高い最大の理由と言える。
なぜノイズキャンセリングを使わないのか
SSPでは、オーバーイヤー型ヘッドホンを使用し、ノイズ・キャンセリング機能をOFFにすることが必須条件になっている。
理由としては、
- ノイズキャンセリング
→ 外界を遮断する安全 - SSP
→ 外界の中で安全を感じる神経系を育てる
特に発達障害特性を持つ人にとって、「遮断された安全」ではなく「つながりの中の安全」が重要になってくるからだ。
SSPで起こりうる反応
SSPの音源を拝聴する過程で、以下のような反応が起こるらしい。
- 気分の揺れ
- フラッシュバック
- 以前のパターンの一時的再燃
- 消化器症状
- 頭痛・めまい・皮膚症状
これらは「フリーズしていたエネルギーの解凍」であり、ソマティックエクスピリエンス(Somatic Experiencing、SE)のセッションで受ける反応より、短く、弱く現れるとされているそうだ。
過去にSEのセッションを受けたことがあるが、SSPはそれよりも弱い反応だが、音源を聞くことで、時々、気分の揺れやフラッシュバック、皮膚症状はすごく感じている。
まとめ
今回は、ドイツ在住の鎌田孝美さんとの再会、交換セッション、SSPを中心にご紹介させていただいた。
少しでもこの投稿が役立つことを願っています。
