【RM#13】Rolf Movement – Part 1(9)〜身体と脳:なぜゆっくりとした動きが大事か?

2017年10月17日(火)。再びドイツ・ミュンヘンでのRolf Movementのトレーニングに臨むため、ソウル経由のアシアナ航空でフランクフルトへ向かった。

今回は、フランクフルトでアドバンスト・ロルファーの鎌田孝美さんと再会するために、10月18日、23日、24日にはフランクフルトに滞在。10月18日の夜と10月19日〜22日はミュンヘンに滞在する予定にしている(フランクフルトの滞在については別途触れる予定だ)。

10月18日の夜、フランクフルトとミュンヘン間を結ぶ、ICE特急に乗車。10月18日の深夜にミュンヘン中央駅に到着。

10月19日、天気は快晴。最高気温が20度前後という、絶好の天気な上、紅葉も綺麗なこの時期。Rolf Movementの8日目に臨んだ。

今回は自分たちでEmbodimentのプログラムを披露することからスタート。というのも、今まで7日間のWorkshop冒頭で行ってきたEmbodimentのエクササイズを自分たちで作り上げるというのが宿題だったためだ(Embodimentについては「身体感覚〜Embodimentとは何か?」参照)。

10分のプログラムを自分で作成したものを、8人からなる2つのグループに分かれ、各々の取り組んだEmbodimentを行なった。私は、セッション5の上半身と下半身を結びつける腸腰筋の意識を高めるエクササイズを中心にゆっくりと行なった。静かに、丁寧に行なった結果、場の雰囲気もあり、身体が整った印象を受けたのだが、あっという間に10分が過ぎた。
本投稿を書いている段階で9日目(10月20日)の日程が終えているので、Rolf Movementのワークショップの8日目(10月19日)と9日目(10月20日)について触れたい。

2日間、セッション8(8日目)とセッション9(9日目)の基礎的な知識の復習と該当する身体の動きをどうセッションに取り入れるのか?手技の紹介と練習に当てられた。

ワークショップ開始時に、Pierpaola Volpones先生(以下Paola)のセッション8〜10の手順書が開始に配布。A41枚にわかりやすく資料はまとまっている。意外に見失いがちな、セッション8と9の手順が、Paolaの視点から目的が明確に、簡潔にまとめっているため、手技の練習の際、混乱しなくてよかった。

実は、クラスの参加者は16人(1人病欠のため、途中から参加できず)。その中でオランダ人の参加者の一人はビオラの演奏者。9日目(10月20日)のクラス開始前に楽器の生演奏があった。そして、クラス終了直前に再度生演奏を披露し、手技の練習前後でどのように音が変化するのか、身体の使い方にどのような変化があったのか?観察する機会があった。

生演奏は、3曲、5分程度のもの。クラス開始前に身体観察を行うと、肩や指の力が入っていて、地に足についていないような状態。Rolf Movementの手技を通じて、セッション9の動き指先から背骨、胸郭付近のつながりと地に足についた状態で演奏。音の質を含め、心が動かされるような演奏へと変化していった。

以前、アレクサンダー・テクニックを学んだ時に、頭と脊椎との関係を意識するだけで楽器演奏の質に変化が生じるということを経験したが、改めてロルフィングでもそのようなことが起きるということがよく理解できた。

セッション8は肩甲骨帯(Shoulder Girdle)と骨盤帯(Pelvic Girdle)との連動性を整えること。セッション9は末端(四肢の指先)から中心へ整えることに焦点を合わせ、
「統合セッション」=「全体を繋げる」
意識で練習を行なっていった。

気づいたこととして、
1)上半身と下半身を上肢・下肢の末端(手足の指先)からどのように中心(身体の真ん中)に向けてつながりを感じるのか?
2)力の入っている(英語でHolding)の部分はどこであり、Holdingをどのようにして緩めるのか?

手技の練習の中では、呼吸を使った意識、五感(嗅覚や触覚)を使って身体の感覚を広げること、身体に力が入っていることを意識するために、身体に触れること等、を取り入れているのだが、動きは単純だが非常に繊細。不明な点をInstructorに質問することで、手技やセッションの理解がより深まった印象を受けた。

Rolf Movementの動き一つ一つは単純なのだが、大事なのは身体意識。クライアント=受ける側に動きを覚えていただくのではなく、身体の動きに選択肢があることを理解していただくのが目的となる。身体の意識に変化を与えるのには、時間がかかるのとゆっくりと行う必要がある。早いペースだと脳で考えて動いてしまい、身体の癖が出てしまい身体の意識への変化が促されない(「身体の気づきを促すために:ゆっくり、丁寧、言語化」参照)

そのため、正確な動きよりも、どの部位に意識を向けるのか?動きの中で起点=Fixed Pointとなるところはどこか?身体の中で動いている場所はどこか?Phoric FunctionとFixed Pointが大切となる(「動きではどこに注目するか?〜Phoric FunctionとFixed Point」参照)。Fixed Pointと動きの間でどこに制限(Holding)があるのか?それを解放させるためにサポートをどのようにするのか?一つ一つ明確になっていった。

残り2日間。10日目はセッション10の復習に当て、11日目はロルファー同士の交換セッションを行い、今までの手技を使う機会が与えられる。楽しみながら最後の2日間も学びたい。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka