ロルフィングのトレーニングも後6週間で終わる。昨年の8月から始まって8か月。2016年6月に再度ミュンヘンで1週間のSupervision Workshopに参加することが必須となっているが、2015年3月25日にPhase IIIのトレーニングを終了すると認定ロルファーとしての資格を得ることになる。
そこからクライアントを受け持ってロルフィングの施術をすることが可能となる。せっかくなので、ドイツのミュンヘンでどのようにしたら認定ロルファーの資格を取ることができるのか?そのトレーニングの特徴について書きたいと思う。
ロルフィングは、伊藤彰典さんとの出会いとセッションを受けることによって、その施術ができるロルファーの資格をとりたいと考えるようになった(経緯については、「出会い〜ヨガのポーズを深めるため、様々な方法を試す中で発見した」「セッションを受け終えて」参照)。
ロルファーの資格を取るにはどうしたらいいのか?The Rolf Institute of Structural Integration (RISI)のホームページを調べると日程が出てくるので、そこから自分のスケジュールと照らし合わせながら決めて行った。その際、ロルフィング発祥の地である米国のコロラド、ドイツのミュンヘンの二つの選択肢があった。最も早く習得ができるところはどこか、ということでドイツのミュンヘンにてトレーニングを受けることに決めた。
ドイツのミュンヘンにEuropean Rolfing Associationの本部がある。そこへ問い合わせてみると、すぐに回答をいただくことができた(のちに触れるが事務局のレスポンスは非常にいい)。ロルファーの資格のためのトレーニングに参加するためには、書類の提出及び事前課題が必要であることがわかった。
また、マッサージ施術の何らかの資格と経験も必要とのこと。Hands onの経験としてヨガの指導やヨガの指導資格を持っていて、何人か教えていたので経験があるよ、と書いたら、OKが出て事なきを得た。とはいうものの、せっかくだったのでタイ古式マッサージの指導資格を取ろうと思い、日本の指導者の下、指導資格のレベル1とレベル2を取得した(「ITMタイ古式マッサージコース Level 1を終えて〜初めてボディワークのスキルを身につける」、「ITMタイ古式マッサージコース Level 2を終えて〜いいものを提供すること」参照)。
また、解剖学の課題(解剖学の理解度を見るための記述問題)、ロルフィングのトレーニングを受ける動機と理由、ロルフィングのセッションの参加(10回セッション(2013年12月〜2014年3月に受けた)と、ムーブメントセッション5回(2014年7月中に受ける予定))等が事前課題として課された(「Trainingへ向けての準備」参照)。
書類の提出を行い、その後修正。受諾のお知らせを頂いたのが2014年6月末であった。その後に下記のスケジュールでトレーニングが進んでいる(参考にトレーニング費用についても記載した)。
- 2014年8月4日〜8月22日 1回目(Phase I)(「Training Phase I 初日〜手放すこと」参照)→済(トレーニング費用:2,270EUR+登録費用85EUR)
- 2014年10月6日〜11月26日 2回目(Phase II)(「トレーニングの再スタート」参照)→済(トレーニング費用:6,370EUR)
- 2015年2月2日〜3月25日 3回目(Phase III)(「開始前とMidterm paperの受理」参照)→現在進行中(トレーニング費用:4,690EUR)
ヨーロッパでのトレーニングの特徴としては、8〜9か月集中的に行うIntensive formatと2年半かけてゆっくりと行うModular formatの2種類があるということ。Intensiveはミュンヘンで英語で行い、ModularはUK、スペイン、ドイツ、イタリア、スイスなどで各地の母国語で行われる。Modularのように働きながら習得できるというのがあるのが羨ましいと思う。
また、もう一つの特徴として、1年後の1週間に及ぶフォローアップのトレーニング(Supervision Workshop)への参加を義務付けていること。例えば、私の場合には
2016年6月21日〜6月26日 Supervision Workshop(トレーニング費用:1,200EUR)
に参加することになる。
米国のコロラドのトレーニングに参加したことがないが、ドイツでロルファーとしてご活躍の中村かおりさんや鎌田孝美さん、実際に米国でトレーニングを受けた人の話を統合すると
ミュンヘン(及びヨーロッパ)では、トレーニングにおいて解剖学や手技のみならず、五感で感じることも大事にする。それに対して、アメリカは、解剖学を叩き込みながら、Phase Iから基本的手技については外部のクライアントを呼んで練習を行い経験を積ませる。そして、Phase IとPhase IIの間に50時間の練習時間を求める(ミュンヘンではこのような課題がない)。
とのこと(詳細は「土台と感覚」に記した)。
そして、最も興味深いのはミュンヘンでトレーニングを受講すると、アメリカと違って様々な国の人たちと一緒になるので、文化の多様性を理解できる。大部分は英語が第二外国語であり、英語の喋りは非常にゆっくりと進む。過去に米国に住んだ体験から言えることは、とにかく米国の人は英語が早い。そして、発言する人が多いのでなかなか自分が発言するということに関してタイミングを逃すことになる。
一方で、ドイツで受けたトレーニングの印象としては、一人一人の話をよく聞くことや英語ができないことを前提にクラスが進むので日本人にとってトレーニングを受けやすい環境にあると思う。現に私が知っているだけでも、5人がミュンヘンでロルファーの資格を習得している。
また、最後になるが、住まいに関すること、少し疑問に思ったことなどに対して事務局のレスポンスが非常に早いということも素晴らしい。おかげで住む場所に関してはリストが送られてきて、問い合わせることですぐに下宿先を安い値段で見つけることができた(ドイツでの生活については、「トレーニング風景」参照)。
米国のボルダーで取るというのも、もちろん選択肢の一つだが、ロルファーとして勉強をする際、ヨーロッパの歴史を知ってみたい、もしくは他の文化を知ってみたいという方がいたら、ミュンヘンで勉強することも是非ともお勧めしたいと思う。
2026年8月の注記
この記事は、シリーズの他の回と性格が違う。当時の心の動きではなく、制度と費用の記録である。書いた時は、これから同じ道を通る人のための実務情報のつもりだった。11年経って、別の意味を持つようになった。この制度は、もう存在しない。
2026年8月現在、European Rolfing Associationの教育課程は、Phase I / II / III の三段階ではない。Level 1 から Level 4 までの積み上げ式に組み替えられている。
| 2014-2015年(この記事の時点) | 2026年8月現在 | |
|---|---|---|
| 構造 | Phase I / II / III の3段階 | Level 1〜4 の積み上げ式 |
| 入口の性格 | 出願・書類審査・事前課題を通過した人のみ | Level 1 は経験不問。誰でも受けられる |
| 第1段階 | Phase I(2014/8/4〜8/22)2,270 EUR | Level 1 Myofascial Foundation Movement・Anatomy・Touch 各9日 5,580 EUR |
| 第2段階 | Phase II(2014/10/6〜11/26)6,370 EUR | Level 2 Structural Fascial Bodywork 34日 8,000 EUR |
| 第3段階 | Phase III(2015/2/2〜3/25)4,690 EUR ここで認定 | Level 3 Rolfing Structural Integration 34日 8,600 EUR ここで認定 |
| 小計 | 13,330 EUR | 22,180 EUR(約1.66倍) |
| フォローアップ | Supervision Workshop 1週間・必須 1,200 EUR | 廃止 |
| メンタリング | 5回 | 2回(Level 2の要件) |
| 10回シリーズを受ける | 出願前の事前課題 | Level 1 の要件 |
| ムーブメント・セッション | 5回・出願前の事前課題 | 3回・Level 2 の要件 |
| Rolf Movement | 基礎トレーニング修了後に別途 | 変化なし |
| アドバンスト | 24日間 | Level 4と明記(24日間は変化なし) |
もっとも大きく変わったのは、費用でも日数でもない。入口の性格である。
この記事の前半は、出願の手続きに費やされている。書類の提出、マッサージ施術の資格と経験、解剖学の記述課題、動機と理由、10回シリーズの受講、ムーブメント・セッション5回。審査を通った人だけが Phase I の教室に入った。
いま、第1段階にあたる Level 1 Myofascial Foundation は、経験を問わない公開の入門課程である。従来の Spectrum と Phase 1 Structural Integration を置き換えたもので、対象はロルファー志望者に限られない。徒手療法家、オステオパス、ヨガやピラティスの指導者、歌手やダンサーや俳優、そして自分の健康のために試してみたいという人までが挙げられている。受講したことが Level 2 へ進むための単位になる。
関門が、前から後ろへ移った。かつては入る前に審査があり、いまは入ってから進む段階で問われる。
三つの柱が Touch、Movement、Anatomy であることは変わっていない。2014年の Phase I も、Movement、Anatomy、Touch の三つで構成されていた。枠組みは保たれ、入口の開き方だけが変わっている。
この変化は、記事に書いた自分の行動にも及ぶ。ヨガの指導経験を Hands on の経験として申告して認められ、それでも「せっかくだったので」タイ古式マッサージの指導資格をレベル1とレベル2まで取った。要件がなければ、あの二つの講座を受けていない。タイ古式についての二本の記事も存在していない。準備として通った回り道が、そのまま記録になっている。
制度の中で失われたもので最も大きいのは、Supervision Workshop である。
この記事では、それを欧州の制度の長所として挙げている。一年後に一週間、ミュンヘンに戻ってフォローアップのトレーニングを受けることが義務づけられている、と。認定を受けてからしばらく実際に施術をして、それから戻ってくる。現場を経てから学び直す設計だった。いま、その枠は存在しない。
もう一点、メンタリング・セッションが5回から2回に減っている。
2014年12月から2016年9月にかけて、五人の異なるロルファーからメンタリングを受けた。英国のKeith Graham、Alan Richardson、そして四回目がパリのHubert Godard本人だった。五人それぞれが違うことを言い、違う手つきをしていた。その記録は、後にこのブログの五本の記事になっている。
五人に会うか、二人に会うかで、触れられる系譜の数が変わる。Godardのような源流にあたる人に当たる確率も下がる。
一方で、事前課題だったものが課程の内側へ移っている。10回シリーズを受けることは、当時は出願前の条件だった。いまは Level 1 の要件である。ムーブメント・セッションも、当時は5回を出願前に済ませておくものだったが、いまは3回になり Level 2 の要件になっている。準備として済ませておくものではなく、学びの過程の一部として扱われている。
ただし、Rolf Movement のトレーニングそのものは、当時も今も基礎トレーニングとは別の課程である。30日間を三つに分けて学ぶ構成で、実際に受けたのは2017年7月から2019年12月までだった。ここは変わっていない。
書かれた予定が、そのとおりにならなかった箇所もある。
Supervision Workshop は2016年6月21日から26日と書いてあるが、実際に受けたのは同年12月13日から18日である。半年ずれた。トレーニング中の記述なので、その時点で告知されていた日程をそのまま書いている。
組織の名称も変わっている。この記事に European Rolfing Association と書いた団体は、いま Dr. Ida Rolf Institute® Europe を名乗っている。
最後に、選んだ理由について。
米国のコロラドとドイツのミュンヘンの二つの選択肢があり、最も早く習得ができるところはどこか、という基準でミュンヘンを選んだ、と書いている。動機は速度だった。
結果として得たものは、速度ではなかった。大部分の参加者にとって英語が第二外国語で、話す速度がゆっくりで、一人一人の話をよく聞く教室。そこで八か月を過ごしたことが、その後の仕事の土台になっている。次の回のタイトルが「英語が母語でない仲間と一緒に学ぶことで気づくこと」であることが、そのまま答えになっている。
選ぶときの基準と、選んだ結果として受け取るものは、必ずしも同じではない。
ロルフィングの学びは、この基礎トレーニングの2015年3月の認定、Rolf Movement Practitioner の2019年12月の認定、そしてアドバンスト・ロルファーの2025年7月の認定で、ひととおり揃った。11年かかっている。この記事を書いた時点では、その先に何段あるのかも知らなかった。





