本コラムで身体地図を取り上げた際に、ボディイメージとボディスキーマという2つの地図があり、人間は、意識的(ボディイメージ)又は無意識的(ボディスキーマ)に地図を絶えず書き換えていることを述べた(【RolfingコラムVol.74】参照)。今回はボディイメージについて取り上げたい。
Phase IIIのトレーニングに入ると、言葉をどのように使ってコミュニケーションをとるのか?ついてフィードバックを受ける機会が増える。それは、ボディイメージに関係する。本コラムで、クライアントのボディイメージについて触れると、クライアント自身が否定される気持ちになるということについて触れた(【RolfingコラムVol.76】参照)。では、否定されるように感じる場合があるのはなぜか?NLP(Neurolinguistic Programming)の観点から見ると、それが理解できる。
NLPのトレーナーの一人ロバート・ディルツは、グレゴリー・ベイトソンの考え方をもとに人間の意識レベルを5つの知覚の種類に分類し、ニューロ・ロジカル・レベルという一つのモデルに体系化した(下記の図参照)。
①環境:周りの環境を意識するレベル(WHEN, WHERE)
②行動:特定の行動を意識するレベル(WHAT)
③能力:才能や能力を意識するレベル(HOW)
④信念・価値観:大切にしている価値観を意識するレベル(WHY)
⑤自己認識:自分の存在理由、使命を意識するレベル(WHO)
このように5つの認識レベルがある。本コラムでボディイメージの例として、「南米の女性らしくなりたくない」ということを取り上げた。それをニューロロジカルレベルというフレームワークで当てはめるとどれに相当するのか?環境(文化)によって考えたのか?今までの行動によってその考えに至ったのか?能力によって考えたのか?信念・価値観に基づいているのか?それとも自分の使命として考えているのか?等。
私は以前、タロットカードを例にどのようにしてこのモデルを見るかについては以前触れた(【TarotコラムVol.7】参照)。タロットカードを広げる際に、私は無意識に相手の5つのレベルのどこに該当するのか?を聞くようにしている。特に⑤自己認識については、知りたい。なぜならば、⑤自己認識に基づいてその下にある、④信念・価値観、③能力、②行動、①環境に影響を及ぼすからだ。そして自己認識が否定されると、自分の根幹が否定されると感じるのだ。
ボディイメージというのは自分の身体に対してどのように考えているのか?に密接的に関わっている。そして、それがいざ自己認識に結びつくと、自分が否定されていると感じるのだ。
これからもボディイメージを捉える際には、相手が上記の5つの視点の中で何を重視しているのか?という観点で言葉を選びながら、ロルフィングで重要なボディスキーマに対処していければと思っている。