靈氣について2回にわたって、西洋にどのようにしてREIKIが広まり、日本においての歴史について簡単に触れてきた(【RolfingコラムVol.112】、【RolfingコラムVol.113】参照)。今回は直傳靈氣とその流れについて語っていきたい。
前回西洋レイキは、林忠次郎先生から教わったハワイ在住の日系米国人の高田はわよさんを通じて全世界に広がったこと、一方で日本の靈氣は、第二次世界大戦後に事実上消滅するに等しい状態となったことを述べた(【RolfingコラムVol.113】参照)。
日本で再び靈氣について見直されるのが、1987年。海外のREIKI協会の一つ、ラディアンス協会(【RolfingコラムVol.113】参照)によるセミナーが行われるようになり逆輸入された形となる。1993年、当時日本在住したFrank Arjava Petter氏(「This is Reiki(日本語版:「This is 靈氣(レイキ)その謎と真実を解き明かす、聖なるレイキの旅」)」の著者として本コラムで紹介(【RolfingコラムVol.113】参照))によって日本人のREIKIティーチャー(西洋レイキを教えることのできる人)が誕生していった。現在では、西洋レイキの施術者は、日本国内で20,000人いるとも言われている。
西洋レイキは米国を経て、世界各国に広まったが、原型から手が加えられたとも言われている。例えば、邪気から人を守ることやチャクラという考え方というのは、後で加えられたとも言われている。
日本での普及に伴ってルーツを探っていく動きも出てきて、GHQによって潰されたと思われた臼井靈氣療法学会の存在や林忠次郎先生から直接指導を受けた山口千代子さんの存在が知られるようになった。1938年に17歳で靈氣を学んで以来、65年にわたって実践されてきたことが明らかとなったのだ。1999年の発見を契機として、林先生の直接の教えを広める動きも出てきて、今回学んだ直傳靈氣研究会が設立されることとなる。直傳靈氣の名前は、「林忠次郎先生直傳の靈氣」という意味が込められており、そのままの教えを伝えることを目的としている。現在の研究会会長は山口千代子さんのご子息の山口忠夫氏が務めている。
直傳靈氣を学ぶと、日本の神道や仏教の影響を受けていることがわかるが、最も大事にするのが言霊だ。言霊を「大辞林」で調べると
「古代日本で、言葉に宿っていると信じられている不思議な力。発した言葉通りの結果を現す力であるとされた」
となっている。私自身言霊に興味を持ったのは、イハレアカラ・ヒューレンの「豊かに成功するホ・オポノポノ」という本からだ。
ハワイ発祥のホ・オポノポノは、世の中で様々に起きる問題は、「潜在意識のなかの情報(過去の記憶)の再生」と捉える。例えば、悩みや病気を抱えたり、借金を背負っているのは「過去の記憶」であると。そして、自分の潜在意識にある情報を修正することによって解決できると。その方法は、すごくシンプルで
- I’m sorry(ごめんなさい)
- Please forgive me(許してください)
- Thank you(ありがとう)
- I love you(愛しています)
という4つの言葉(又は愛しています)をただ繰り返していうだけで、過去の記憶がクリアになる。過去の記憶によって遮られていた、「神聖なる存在」から光が記憶がクリアになることによって直接届くというのだ。
ヒューレンは1983年〜1987年の5年間。ハワイ州立病院の特別病棟に勤務。殺人、レイプ、暴行、窃盗などの罪に問われ、精神錯乱状態にあるとされた囚人患者が収容されている特別施設として知られている施設で、恐怖の職場としても知られていた。ヒューレン氏ご本人がホ・オポノポノを実践。言葉を唱えることによって、情報の浄化=クリーニングを毎日行っていた。その結果、驚くべきことに毎日平均3、4回の暴行事件が、勤務2、3ヶ月後には減少。成果を上げていき、数ヶ月後、数年後に重症患者が退院していったのだっそうだ。
なぜ、これか可能かというと、「問題はすべて自分の中で起きるのであって、自分の外で起きている問題はない」と考えるからだ。
ホ・オポノポノの言葉に相当するのが、直傳靈氣でいう五戒。五戒とは、臼井氏が一度靈氣で治療したはずの人が、しばらくするとまたやってくるのを見るにつけて、「人間は心を変えないと本当に元気にならない」ということで、下記の五戒の言葉を3回唱えるという方法を導入した。
それは、
- 今日だけは
- 怒るな
- 心配すな
- 感謝して
- 業をはげめ
- 人に親切に
というシンプルなもの。ヒューレン氏のホ・オポノポノと似ていると思うのは、この言葉を唱和することで、場が整い、邪気が入ってこなくなるという点。違いは、「怒るな」「心配すな」という否定形の言葉が入っているところ。
西洋心理学の常識は、「潜在意識は言葉の否定形を認識することができない」と考える。例えば、「心配するな」という言葉を脳が聞くと、否定形よりもその前の言葉、心配の方を優位に考えてしまうからだ。
なぜ直傳靈氣が否定語を使っているのか?についての理由は不明だが、うまくいくのは確か。いつかその謎については調べていきたい。
このように、靈氣というのは言霊から理解することでいろいろとわかることが出てくる。次回は、言霊と靈氣との関係をもう少し述べながら、靈授や靈氣、そしてタロット・ロルフィングへの影響について紹介したい。