はじめに
2018年2月24日(土)、サロンZEROにて、第1回目の「ロルフィング・セルフケア」についてのセミナーを開催した。
2015年3月にロルファーとして認定を受けてから3年。今までロルフィングのセミナーを一般向けに開催していなかったが、2018年からは、様々なお客さんとの出会いを通じて気づいたことを中心に、セミナーを1〜2か月に一度のペースで開催したいと考えている。
第1回目は、参加者3名。前半は座学、後半は体感という2部構成で行った。
座学〜ロルフィングの広がりと、なぜ身体を整えるのか
座学では、アスリートを中心にロルフィングが世界でどのように普及しているのかを、フィギュア・スケートやNBA、NFLの選手を取り上げて紹介した。筋膜学会で科学的なエビデンスも蓄積している現状にも簡単に触れた。
その後、「なぜ身体を整えることが大事か?」について参加者とともに議論した。
そこで紹介したのが、「人間というのはありのままの姿を見ているわけではない」という、ボー・ロッドの『脳は「ものの見方」で進化する』の考え方だ。
人間が何かを見る際、目から取り入れる情報は10%で、残りの90%は脳の情報を利用するという。
「ものの見方」には2種類ある
「ものの見方」には、
- 無意識で磨かれる部分(ボディスキーマ)
- 意識的に磨ける部分(ボディイメージ)
の2種類がある(詳細は「心理的、知覚的な変化〜身体地図」参照)。
ヨガ、ピラティス、太極拳やロルフィング等は、「無意識で磨かれている部分」に対して刺激を与えることで、身体から脳の情報に対して働きかける。そのことで9割を占める脳の情報が更新され、散らかっている情報が整理されていくと思われる。
ポイントとなるのは、身体の末端(足や手)からの情報を、どのようにして脳に伝えることができるかどうかだ。
そのために、「手や足が外部情報(環境や空間)をキャッチできる状態」=「手や足が自由に動ける状態」に整えることが大事になっていく(足に関しては「セッション2:足を調える」参照)。
体感〜手や足が自由に動けるとは
参加者一人一人に、「手や足が自由に動ける状態」とは何かを、ロルフィングのデモを通じて実感していただく時間も設けた。
筋膜の役割についても、
- 身体の各臓器の形成・空間づくり(内臓、筋肉の包み紙の役割)
- 身体の各臓器・筋肉間をつなげる
という2つを紹介した上で、手や前腕に対してアプローチを取ることによって、肩が柔らかくなっていくことも実感いただくことができた。
あっという間の2時間だった。
2018年3月24日(土)午後7時半、サロンZEROにて第2回の開催が決定しており、次回はホメオパシーの考え方について少し紹介する予定だ。
まとめ
今回は、第1回目の「ロルフィング・セルフケア」セミナーについて、ロルフィングの普及の現状、「ものの見方」の2種類(ボディスキーマとボディイメージ)、筋膜の2つの役割を中心にまとめた。
2026年9月の注記
この記事を書いた2018年2月の時点で、ボディスキーマとボディイメージの区別を、原典から学んではいなかった。
区別の出どころは、Shaun Gallagher と Jonathan Cole の1995年の論文である。身体図式は生理学的な構成であり、身体像は現象学的な構成である、という整理をした論文だ。この論文は、2014年8月のPhase Iで Giovanni Felicioni から配布されていた。最終ページには手書きの出典メモまで付いている。
読まなかった。
2015年9月に身体地図についての記事を書いたときも、参照したのは別の本だった。そして2018年2月、参加者3名に向けて、この区別を「無意識で磨かれる部分」と「意識的に磨ける部分」という言い方で渡している。原典を読まないまま、セミナーの中で使えるようになっていた。順序としては、使えるようになったのが先で、原典に戻ったのが後になる。
配布資料を読み返してみると、身体図式の起源はメルロ=ポンティではなく、Head と Holmes の1911年の仕事にあり、身体像は Schilder の1935年に遡ることが、年表の形で明記されていた。二つは別々の学統から出て、24年の隔たりを置いて、後から対にされた概念である。2018年の時点では、その来歴を知らずに二つを対にして説明していたことになる。
間違ったことを言ったとは思っていない。ただ、括弧に入れた二語の背後に何があるのかを、当時は知らなかった。
もうひとつ、この記事には書いた通りにならなかったことが記されている。セミナーを1〜2か月に一度のペースで開催したい、と書いている。第2回の日程も、扱う内容も決まっていた。その後、このセミナーについて書いた記録が残っていない。開催して書かなかったのか、開催しなかったのか、それも分からない。
似たことが他にもある。アドバンスト・ロルファーの認定は2018年に取ると3度書いて、実際には2025年になった。Rolf Movement の認定も、2018年7月と書いて2019年にずれた。書いた時点では、どれも確からしい予定だった。
今年の8月から9月にかけて、ブログ記事を全部見返している。日本語と英語のロルフィングのホームページを新しく作るためだ。この配布資料を読み返したのも、その作業の中でのことである。今まで学んできたことを整理している最中なので、セルフケアやロルフィングについてのセミナーを、あらためて企画しようと考えている。





