【R#421】ソースポイントセラピー──14日間・5年にわたるトレーニングの総まとめ

これまで、ソースポイントセラピー(以下SPT)については、体験談やモジュールごとの記録として20本以上をまとめてきた。個々の記事は、トレーニングの模様、SPTを受けた感想などを言語化にしたものだ。ここでは一度立ち止まり、

「そもそもSPTとは何か」
「自分はどこで、誰から、どのように学んできたのか」

を一本の記事にまとめたい。

私のセッションは、ロルフィングと並んで、SPTはセッションの土台をなすもう一つの柱になっている。その背景を知りたい方のための案内として。

ソースポイントセラピーとの出会い

SPTと初めて出会ったのは、2015年5月26日、大阪でのことだった。

当時、自分はまだミュンヘンでのロルフィング・トレーニングを終えたばかりで、施術を始める直前の時期にあった。大阪でTEN〜the space for your Life & Bodyを主宰するロルファーの佐藤博紀さん(以下ヒロさん)と初めて対面し、昼食をともにしながら情報交換をした後、その場でセッションを受けた。それがSPTだった。

正確には、SPTを受けるのはこのときが初めてではなかった。ロルフィングを学ぶきっかけをくれたロルファーの伊藤彰典さんから、以前に一度受けたことがある。ただ、そのときは「ほとんど身体に触れないのに、何かが変わっている」という感覚だけが残り、それをどう言葉にすればよいのか分からずにいた。

ヒロさんから受けたセッションは、伊藤さんのものとはまた違う印象だった。手でほとんど触れることもなく、施術者が「良くしよう」と力を加えるわけでもない。それでも、身体が自ずと整っていく。「これは面白い」──そう感じたことが、学びの入り口になった。

SPTは、ロルフィングと同じように段階を追って学ぶ構成になっており、日本で日本人のヒロさんのTENで受けられる。ロルフィングの手法を深めるうえでも意味があると考え、迷うことなく申し込んだ。

ヨーロッパのロルファーとしての認定までの歩みについて〜ヨーロッパ・ロルフィング協会・認定トレーニング

ソースポイントセラピーとは何か

SPTは、アメリカのボブ・シュライ(Bob Schrei)とドナ・トムソン(Donna Thomson)によってつくられたエネルギーワークだ。

ボブは1986年からのキャリアを持つ認定アドバンスト・ロルファーであり、バイオダイナミック・クレニオセイクラル・セラピスト、そして長く禅に親しんできた実践者でもある。

大学で建築、大学院で美術を学んだ経歴から、構造やパターンにも通じている。ドナは直感的なヒーラーであり、瞑想の教師でもある。二人はともに長く禅を修めており、SPTにはその静けさとシンプルさが色濃く流れている。ドナのセッションから生まれたものを、施術者であるボブが試行錯誤しながら形にしていくなかで、SPTという体系が育っていった。1995年頃から約10年をかけて練り上げられ、2005年以降は世界各地で教えられている。

SPTの中心にあるのは、「ブループリント(Blueprint=設計図)」という考え方だ。

人が人として健やかにあるために必要な、根源的な秩序の情報。それがブループリントであり、宇宙のエネルギー場のなかにも、私たち自身の身体と心のなかにも、本来そなわっているとされる。その働きは、秩序(Order)・調和(Balance)・ハーモニー(Harmony)・流れ(Flow) という言葉で表される。

日々のストレスや感情、緊張などによって、私たちはこのブループリントとのつながりを弱めてしまう。SPTでは、施術者がブループリントにアクセスし、身体との滞ったつながりを取り戻す方向へと働きかけていく。特徴的なのは、施術者が一方的にエネルギーを送るのではないという点だ。ポイントを通じて、受け手自身のなかにある力が自然に働き出すのを助ける。

具体的には、身体の内外にあるいくつかの「ポイント」を扱う。代表的なものに、

  • ダイヤモンド・ポイント(Source/Grounding/Activation/Transformation の4点)
  • ゴールデン・レクタングル・ポイント
  • ネーブル・ポイント
  • セイクラル・ポイント

があり、これらは神聖幾何学の考え方に基づいている。施術者は「スキャン」と呼ばれる方法で、ブループリントとのつながりが弱まっている場所を探り、そこに健全な情報がふたたび流れるように働きかけていく。

SPTは、それ自体で完結する治療ではなく、他のあらゆる手法を支える「器(うつわ)」として設計されている。ロルフィングをはじめ、マッサージ、鍼灸、クレニオセイクラルなど、さまざまなワークと重ねて用いることができる。創始者のボブがロルファーであり、幾何学的なバランスという発想がロルフィングと共通していたことから、SPTはまずロルファーのあいだに広まっていった。ロルフィングから派生したワークと言われるのは、そのためだ。

日本では2013年に初めてクラスが開催され、以降はヒロさんが大阪のTENを拠点に普及を続けている。国内のプラクティショナーは、まだ20〜30名ほどと推定される、限られた広がりのワークだ。

ソースポイントセラピー──健全な情報とつながるエネルギーワーク

私が受けたトレーニングの全体像

SPTのトレーニングは、モジュール1・2・3の3段階で構成される。私は、2015年10月に学び始め、2020年10月のModule 3で全課程を修了した。補講(Supplemental Course)を含めると、約5年間・のべ14日間の道のりだった(以下、敬称略)。

課程期間日数指導会場
Module 12015年10月10日〜12日3日間佐藤博紀大阪・TEN
Module 22015年11月21日〜23日3日間佐藤博紀大阪・TEN
Supplemental Course2017年12月2日〜3日2日間佐藤博紀大阪・TEN
Module 32020年10月6日〜12日6日間佐藤博紀(会場)/ボブ・シュライ・ドナ・トムソン(オンライン)大阪・TEN

以下、それぞれの段階で何を学んだかを振り返る。

Module 1・2(2015年10〜11月)──基礎を身につける

2015年秋、大阪のTENで、SPTの基礎を学んだ。

Module 1と2では、ブループリントという考え方の土台を丁寧に受け取りながら、ダイヤモンド・ポイントをはじめとする基本のポイント、そして身体のまわりのエネルギー場を読み取る「スキャン」の手法を学んでいった。手を触れずに、あるいはごく軽く触れながら、ポイントを保持する。施術者が何かをしようとするのではなく、ポイントそのものが持つ働きに委ねる──この「委ねる」という感覚をつかむことが、初期の大きな学びだった。

力で変えようとするほど、かえって流れは止まる。緊張を手放し、静かにその場に在ること。禅に通じるこのシンプルさは、のちにロルフィングのセッションで「ニュートラル」を考えるうえでも、深く響いてくることになる。

Supplemental Course(2017年12月)──基礎を再訪する

基礎を学んでから2年。実際のセッションにSPTを取り入れる日々を重ねたうえで、2017年12月に補講に参加した。

一度身につけた基礎を、経験を経てからあらためて学び直す。同じ内容でも、受け取れるものはまるで違っていた。スキャンの精度、ポイントを保持するときの内的な静けさ、そして「委ねる」ことへの理解が、実践の蓄積を通して確かなものになっていった時期だった。

Module 3(2020年10月)──創始者から学ぶ最終課程

そして2020年10月、SPTの最終課程であるModule 3を受講した。

10月6日から12日までの6日間。大阪のTENでヒロさんの指導を受けながら、創始者であるボブ・シュライとドナ・トムソンには米国からオンラインで加わっていただき、直接教えを受ける機会を得た。基礎で扱ったポイントの、さらに奥にある構造。ブループリントとの、より深いつながり。そして、施術者としての「在り方」そのものが問われる段階だった。

SPTは、トラウマやカルマを一つひとつ取り除くことを目的とはしない。正面から向き合わせたり、再体験させたりすることもない。ブループリントとつながることで、必要なものが自ずと整理されていく。この「安全さ」と「委ねること」の意味を、創始者の言葉と手を通して受け取れたことは、5年間の学びの締めくくりにふさわしいものだった。

ロルフィングとの関係──二つの柱をどう活かすか

SPTを学び続けてきたのは、ロルフィングと重ねることで、セッションがより豊かになると実感してきたからだ。

ロルフィングは、筋膜という結合組織に働きかけ、身体の構造と重力との関係を組み替えていくボディワークだ。手で触れ、構造にアプローチする。一方のSPTは、ほとんど触れることなく、エネルギー場のポイントを通じてブループリントとのつながりを取り戻していく。方向性は異なるが、どちらも「本来そなわっている健やかさを取り戻す」という一点で深く通じ合っている。

SPTは、それ自体が「器」として機能する。ロルフィングの構造的な働きかけを、より安全で、より流れのある場のなかで行うための土台になってくれる。

制限(limitation)と可能性(possibility)のあいだで、身体の今の状態を「問題」ではなく「その人の最善の選択」として尊重しながら、最小限の介入で変化を支える──この姿勢は、SPTやクレニオセイクラルといったワークに共通する態度でもある。ロルフィングのセッションで「ニュートラル」であろうとするとき、SPTで培った「委ねる」感覚が、静かに働いている。

修正するのではなく、変容を。

その根っこにある考え方を、SPTは別の角度から支えてくれている。

まとめ

2015年5月の出会いから、2020年10月のModule 3修了まで。約5年、のべ14日間かけて、SPTを基礎から最終課程まで学んできた。指導してくださったヒロさん、そして創始者のボブとドナに、あらためて感謝したい。

ここに記したのは全体像であり、それぞれの日に受け取ったものは、リンクした各まとめ記事に詳しく残している。関心を持たれた方は、そちらもあわせてご覧いただければと思う。

SPTは、ロルフィングと並ぶもう一つの柱として、これからもセッションのなかで静かに息づいていく。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka