IMAC(6)〜下肢編〜解剖学と東洋の経絡の接点:可動域から何がわかるのか?

2019年3月16日(土)、TEN〜the space for your Life & Bodyの佐藤博紀さん(以下ヒロさん)のIMAC(Center of Integrative Movement Assessment)の下肢編(3月16日〜3月17日)を受講し、ロルフィングの手技を磨くために早朝の羽田空港発の伊丹空港着のフライトで伺った。

IMACに参加するのは、今回で6回目。今年(2019年1月27日)の東京で開催されたEROMに参加して以来となる(「IMAC(5)〜EROM〜基礎的な可動域の評価の仕方について学ぶ」参照)。

下肢編には、2016年4月3日に受けたことがあったが(「IMAC(3)〜下肢編」参照)、ロルフィングを含めたボディワークの経験が浅く、解剖学の知識も不足している上、情報量が圧倒的に多いので、セミナーの内容についていくのがやっとという状態だった。

そこで、しばらく時間を空けて、必要になるまで間をおくことにした。昨年(2018年11月)の内臓クラスを受けてみて、準備が整ったと体感。セッションの経験を積み重ね課題も見えてきたので、それを解決するため、今年から受講することになった(経緯については「内臓と筋肉〜筋肉の働きが内臓にどう影響するのか?」に書いた)。

ロルフィングは、肩こり、腰痛を含めた諸症状に効果があるが、あくまでもそれは結果論。重点に置いているのは身体のバランス。創始者のIda Rolfの教えた方法を手順通り行っていくと、10回で、身体のバランスが整っていく。

しかし、ロルフィングの基礎トレーニングは、身体のバランスや感覚に力点が置かれているので、

解剖学からみて、筋肉がどのように変化しているのか?

詳しく検証する方法を学ぶことがあまりない。

例えば、

  • 1)感覚を頼りにセッションを提供していたが、筋肉や骨格から見て、どのように変化しているのか?そしてどのように動きを評価するのか?
  • 2)セッション中に、体幹や内臓に問題を抱えている人が多いが、筋肉や骨格から見て、どのようにアプローチしたらいいのか?
  • 3)セッション中に痛みを抱える人が多いが、どのようにして痛みを軽減するセッションを提供できるか?

などについては、基礎トレーニングでは必ずしも解決策を提供しているわけではない。

ヒロさんの提供しているIMACは、

「各筋肉を関節の動きからどのように評価したらいいのか?」

「セッションを提供した前後で本当に効果が出ているのか?」

臨床経験から成果のあった方法のみを伝えているのがありがたい。

すごいのは、毎年毎年バージョンアップが行われている。

今回の下肢編は、東洋医学の6つの経絡と関節の可動域、解剖学で話が進み、

「身体のつながりの中でどのようにアプローチしていったらいいのか?」

その中で、身体を経絡という線でみていく新たな視点が入った。

他にも

  • 1)関節の可動域がどのようにしたら広がるのか?
  • 2)内臓と筋骨格系との関係はどうなっているのか?
  • 3)東洋医学の経絡と筋骨格系との関係はどうなっているのか?


等、手技であっと驚く、簡単な方法を教えていただいたので(ご興味のある方はセッションにお越しください)、これからのセッションが楽しみになってきた。

参加者がロルファーに限らず、理学療法士、鍼灸師さんもいて、身体について様々な見方が身につくのがいい。そしてヒロさんからフィードバックをいただきながら、短時間のセッションまで受けることができるので、自分の身体感覚を磨くいい機会だった。

前回の内臓クラスで風の音の治療院・安部雅道さん(鍼灸師)に出会ったことが契機となり(今回も安部さんは参加)、2019年4月に「からだの学校【東洋医学】@Kei.K Aroma Studio(神奈川)」を受講開始(「東洋医学の基本的な考え方に触れる:陰陽説、五行説、自分で基準を作る」参照)。

東洋医学からみた西洋医学。西洋医学からみた東洋医学は興味のあることなので、今年はIMACを深めつつ、東洋医学の理解を深めたいと思っている。

2026年9月の注記

この回で、東洋医学が入ってくる。下肢編の内容が、6つの経絡と関節の可動域と解剖学で進んだ。身体を経絡という線で見ていく視点が加わった、と本文にある。

同じ下肢編を、3年前に受けている。2016年4月。そのときには経絡はなかった。

本文は「毎年毎年バージョンアップが行われている」と書いている。講座の側が動いていた。

一方で、こちら側も動いていた。ただし、動き方が二つある。

ひとつは、記事に書いてあるほう。2016年は情報量が多く、ついていくのがやっとだった。時間を空けて、必要になるまで間をおいた。2018年11月の内臓クラスで、準備が整ったと体感した。

もうひとつは、記事に書いていないほう。

2018年6月、ダニエル・キーオンの「閃めく経絡:現代医学のミステリーに鍼灸の『サイエンス』が挑む」の日本語版が出た。買って、すぐに読んだ。筋膜こそが経絡の実体ではないか、という説が書かれていた。

関係があると思ったわけではない。関係があるのではないか、と思っただけだった。

その2か月後、Erich Blechschmidt の「The Ontogenetic Basis of Human Anatomy: A Biodynamic Approach to Development from Conception to Birth」を買っている。少しずつ読み進めていた。

そして11月、内臓クラスで、ヒロさんと安部さんが実験を始めた。経絡上にある筋肉の可動域と、ツボへの刺激で、身体がどう変わるか。目の前で起きたことを見て、初めて東洋医学を理論ではなく体感として受け取った。同じクラスで、ヒロさんから発生学も聞いている。

その翌月、キーオンを原文で読み直した。日本語版が面白かったので、確かめたくなったのだと思う。英語版の「The Spark in the Machine」。英語のほうが分かりやすい、という印象が残っている。

読み直して気づいたのは、この本に発生学のことも書かれていたことだった。胎児から新生児になっていく途中で臓器がどう動くか、それが経絡を作る上で大切だ、と。内臓クラスで聞いた直後だったので、そちらの理解も深まった。

半年のあいだに、発生学が三つの経路から来ていたことになる。二冊の本と、講座から。

そして4か月後のこの回で、下肢編に6経絡が入った。

順番が効いている。本を読んで問いを持ち、その問いに答える場面を見て、原文に戻って確かめ、それから講座の内容が変わった。もし2016年の下肢編に経絡が入っていたとしても、受け取れなかったと思う。問いがなかったから。

前の回の注記に、離れていたのはIMACであって、問いのほうは続いていた、と書いた。あのとき書いた問いは痛みのことだった。その2年半のあいだに、もうひとつ別の問いが立っていたことになる。

決めつけずにいたことが、効いたのだと思う。筋膜と経絡に関係があると決めていたら、確かめる作業になっていた。関係があるのではないか、という感触だけを持っていたから、目の前で起きたことをそのまま受け取れた。

キーオンの説は、いまも仮説のままだ。Schleip の受容器の話とは、検証の段階が違う。証明されていないものが、探索の入口としては働いた。そういうことは、あるのだと思う。

翌月から安部さんの東洋医学の講座に通い始める。同じ月に上肢編で12経絡が揃う。二つの経路が、同じ方向へ並んで進んでいく。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka