【R#170】Cranio Work – Sharon Wheeler(3)〜Sharonの話(3):セッションで何を心がけて行ったらいいのか?

2017年1月30日(月)。シアトルの滞在最終日。2017年1月26日から始まったワークショップも無事終わった。
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過去2回に分けてシアトルで開催されたCranio Workについて紹介した。
初日の模様:「Cranio work(1)〜初日
2日目〜最終日の模様:「Cranio Work(2)〜クラスはどのように進行したか?
今回は、Sharonが語ったことについて書きたい。Bone Work(2016年11月に東京で開催)でも書いたが、Sharonは、1970年頃からIda Rolfに直接学んだ数少ないロルファーの一人。その話を聞くだけでも学ぶことが多い。Bone Workで語った内容については過去に2回書いた。
Bone Work(3)〜3日目+懇親会:Sharonの話(1
Bone Work(5)〜最終日:Sharonの話(2
以下断片的になるが、Sharonが今回語った内容について紹介したい。
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1)1989年にRolf Institution of Structural Integration(RISI)がMichael SalvesonとJan Sultanを中心とするRISIとEmmett Hutchinsを中心としたGuild for Structural Integration(Guild)の2つの団体に分裂。分裂の要因は政治的だったこと。是非将来統合してほしいという願いを込めて話してくれたと思っている。というのは、GuildもRISIもカルキュラムに差がないこと。Guildとの差別化の必要性からRISIでは、Jeff Maitlandの哲学を含め幾つかの内容をトレーニングに加え、2段階だったトレーニングを3段階に分けて行うようになったに過ぎないからだ。実は、Ida RolfがRolfingを教え始めた当初、カルキュラムをAuditing(観察者(知覚する)の段階)とPractitioner(施術者(施術経験)の段階)に分けていたのだが(詳細は「Training Phase III〜Seeingと知覚すること(1)」参照)、Practitionerの段階をPhase Iから取りれるようになる。
2)SharonはRISIとGuild分裂の際に起きた様々なこと(政治的な動き、主に人間関係)が納得できなかったため、Facultyメンバーの中に入らなかったという。Sharonはヨーロッパで教えるようになって興味深いと思ったのは、GuildもEuropean Rolfing Association(ERA)も一緒になってトレーニングを行なっていること。全く同列に扱われ、それがトレーニングに奥深さを与えているという。現に、2016年のチェコでのトレーニングはGuildの先生とRISIの先生が一緒に行なったという。こう行ったことが可能であり、ヨーロッパの人たちに米国の人たちを上回るには、みんな知恵を出し合ってやるといいと伝えたそうだ。
3)Ida RolfがAdvanced Trainingを作ったときに、生徒の理解度の低い人を対象に補講という意味合いが強いTrainingとして始まったそうだ。現にSharonはAdvanced Trainingが受けられる!と喜んでIdaに聞いたところ、Sharonにはそれが不要だと言われる始末。また、Advanced Trainingでは18単位の取得が必要。その中にCranio/Visceral、Movement、Manipulationと並んでElectiveがある。なんでElective=「選ばれた」という単位があるのか?(それ以外は、すべてRolfingで使う手技・アプローチの名前)これも疑問だったのだが、Facultyメンバー以外が教える際に認定されるものとして、この単位ができたということ。
4)施術を行う際には、すぐに変化を起こさずに少しずつ、部位を行ったり来たりすることも大切。そのことで、緩徐な変化を通じて、クライアントがその変化を受け入れられやすくなる。
5)Sharonもときにクライアントから影響を受け、一度肝炎に患った人から影響を受け、肝臓が痛くなったそうだ。そこで、ある精神科医に対応策を聞いたところ、2つのアドバイスがあったとのこと。1つ目は、皿の上に乗っているものをすべて取らないこと、2つ目は、Empathy(同情)とsympathy(共感)を分けて考えること。前者は、どのような状態であっても相手から必要なものを受けとるという意味、後者は、困っている人であっても、その人が立ち上がれるよう、自立できるような手助けの仕方をするという意味になる。どちらが良かったのかSharonはわからなかったが、2つの考え方を取りれることで、影響を受けなくなったという。
6)クライアントの中に「小さな子供(Small Baby)」を感じなければ、他のロルファーを紹介した方がいい。Cranio Workで頭へアプローチすると、その人が過去に経験したことが浮上してくる。深く入り込むためには安全な場が必要であると同時に、子供の時代に遡る場合が多い。その際に、その人に好意を持ったり、恋愛感情を持っていると、そのプロセスを阻害するのみならず、害を与える可能性がある。それは是非とも避けた方がいい。この点に関しては、男性ロルファーの方が注意した方がいいと言ってた。
7)人は、強く何か衝撃を受けると、その痕跡(Scar)が骨や組織に残ることになる。その痕跡を感じることがセッション中にあり、そこに直接入って行って、どのようなエピソードでそれが起きたのかを聞き出すことによって、それをつかみ解放させることで、物事が解決の方向に進むという。Bone WorkやCranio Work、そしてロルフィング自体これに役立つ。
以上
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この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka