2017年7月7日(金)。ヨーロッパ・ロルフィング協会(European Rolfing Association、ERA)が主催するRolf Movement Trainingの初日を迎えた。参加者は合計で16人。ベルギー1名、スウェーデン1名、ドイツ7名、ポーランド1名、ロシア1名、チェコ1名、スイス2名、オランダ1名、そして日本1名からなる大所帯だ。

ロルフィングの基礎トレーニング(「ヨーロッパのロルファーとしての認定までの歩みについて〜ヨーロッパ・ロルフィング協会・認定トレーニング」参照)のPhase I〜IIIで一緒だったベルギーのBart AdinsとドイツのGerald Kaufmann。Phase Iで一緒だったスウェーデンのAsa AhmanとポーランドのRafal Wysocki。そしてSupervision Workshopで一緒だったスイスのJanine MargelischとドイツのJudith Wohlrabe。顔なじみが6人いるので、非常に心強い。
並行して、ロルフィングの基礎トレーニングを受ける前に行われるSpectrum movement trainingも別の部屋で同時開催されていた。Giovanni Felicioni先生が教えているので、再会することができた。

Rolf Movement Trainingは合計で30日間。ERA認定のRolf Movement Instructorとして4人が担当する。Giovanni Felicioni先生、Pierpaola Volpones先生、Rita Geirola先生、France Hatt-Arnold先生である。

課程を30日間修了することによって、Rolf Movement Practitionerとしての認定を受けることができる。
Rolf Movementがどのようにして生まれたのかについては、Ida Rolfから直接学んだGael Rosewood先生のワークショップで伺うことができた。経緯については「Gael Rosewood WS(1)〜Rolf Movementの歴史と基礎的な原理について知る」を参照いただきたい。
ERA主催のRolf Movementは、基礎トレーニング同様にPart I〜IIIの3段階に分かれる。
Part I「Functional Embodiment of 10 Rolfing Sessions(ロルフィングの10回セッションの機能的な側面の習得)」は、Pierpaola Volpones先生とRita Geirola先生が担当。2017年に3回開催される。
- 7月7日から9日(3日間)
- 8月31日から9月3日(4日間)
- 10月19日から22日(4日間)
10回のロルフィングのシリーズを、Movementの観点から理解を深めることになる。その結果として、動きというものをロルフィングのセッションに意識的に取り入れることができ、ヨガやピラティスを教えている人、ダンサーにも役立つ内容を提供できることを期待している。

Part II「Strategy and Design of A Rolf Movement 3-Series(Rolf Movementの3回シリーズをどのように設計するのか)」は、Rita Geirola先生とFrance Hatt-Arnold先生が担当。
- 2018年1月24日から2月4日まで(1月27日と31日は休み、合計10日間)
ロルフィングの10回シリーズとは別に、3回のRolf Movementのシリーズを組むことができるようになる。身体内の感覚をどのように研ぎ澄ませるのかを知る、貴重な機会となる。
Part III「Introduction to Leading Rolfing Movement Groups(グループレッスンでどのようにRolf Movementを使うのか)」は、France Hatt-Arnold先生とRita Geirola先生が担当。
- 2018年5月3日から6日(4日間)
- 7月4日から8日(5日間)
の2回に分けて行われる予定だ。グループレッスンで動きのクラスを開催するとき、どのように行ったらいいのかを学ぶことができるという。
なお本トレーニングを修了すると、Advanced Trainingの受講要件のうち、MovementとElectiveの枠が免除される。
ヨーロッパでは伝統的に、ダンサーであり大学で教鞭をとるロルファー、Hubert Godardの影響が強い(Hubert Godard先生とのメンタリング・セッションについては「ERA Mentoring Session(4)〜パリでの体験:基礎を大事にすること」に書いた)。Hubert GodardのTonic Functionについては、本コラムで何度か触れてきた(例えば「疲れる筋肉と、疲れない筋肉〜姿勢を支えるTonic Function」参照)。
Tonic Functionの考えを知るいい機会でもある。どこまで深まるのか、楽しみにしていたい。
2026年8月の注記
初日の記録に、教員が4人と書かれている。Giovanni Felicioni、Pierpaola Volpones、Rita Geirola、France Hatt-Arnold。
実際には7人になった。Part I はこの4人のうち3人にHervé Baunardが加わり、Part II は France Hatt-Arnold、Rita Geirola、Aline Newton、Nicola Carofiglio。Part III は France Hatt-Arnold、Rita Geirola、Hervé Baunard。重複を除いて7名である。
この数が、後になって意味を持つ。
Rolf Movement Practitioner の認定は、日本でも取れる。田畑浩良さんが提供されている。1999年にRolf Movementプラクティショナーとして認定を受け、2009年にRolf Instituteの教員養成課程を修了して国際Rolf Movement教員となった方である。恩師はCarol Agneessens。認定コースは30日間225時間で、要件はERAと変わらない。
ただし、日本のRolf Movement教員は一人である。
そして田畑さんご本人が、3人以上のRolf Movement教員から学ぶことを勧めておられる。そう伺ったことがある。
教える人が内容そのものになる課程で、これは効いてくる。教科書がないというのは基礎トレーニングについて書いたことだが、Rolf Movementはさらにそうである。同じセッションを扱っても、Paolaは資料を用意して構造を整理し、Ritaはガイドしながら身体で追わせ、Giovanniは触れ方の細部を一つずつ示していく。
しかも、この課程には別の系統が織り込まれている。フェルデンクライス・メソッドである。
Rolf Movement という考え方そのものが、Ida Rolf と Moshe Feldenkrais の交流から生まれた。IdaがFeldenkraisをEsalenに招き、二人は対立することなく互いを認め、互いのワークを受けていた。Sharon Wheelerから聞いた話である。
そしてRita Geirola先生は、1992年にフェルデンクライスのプラクティショナー認定を受けている。ご本人が、その視点が教え方の土台にあると述べておられる。体育学とメジエール法を前歴に持ち、ピラティスも教える。Hubert Godard と Peter Levine の両方に学んだ人でもある。
後にRitaへ、Rolf Movementとフェルデンクライスの違いを尋ねたことがある。それほど違いはない、という答えが返ってきた。1970年代のEsalenで隣り合っていた二つのワークが、40年後も隣り合っていた。
ミュンヘンを選んだとき、そこまで考えていたわけではない。基礎トレーニングをERAで受けたので、その続きとして自然にそうなった。結果として7人から受け取ることになった。
顔ぶれにも重なりがある。Rita Geirola は Phase I の Movement を教えた人で、2019年に認定を与えた教師でもある。入口と出口の両方にいた。Giovanni Felicioni は Phase I の Touch と Phase II を教え、Part I にも入っている。手技とムーブメントの両方を教える人である。Pierpaola Volpones は、この年の暮れに終わったばかりの Supervision Workshop の教師だった。
基礎トレーニングで教わった人たちが、別の課程で別の顔を見せる。同じ人が、手技を教えるときと動きを教えるときで違うことを言う。それが分かるのは、両方を受けた場合だけである。
もう一つ、この記事の末尾に書いた単位のことを訂正しておきたい。
当時は、この課程を修了すると Movement 3単位と Elective 3単位が付く、と理解していた。正確ではない。付与されるのではなく、アドバンスト・トレーニングの受講要件のうち、Movement と Elective の枠そのものが免除される。
数字の問題ではなかった。枠が外れるということは、その後に受ける継続トレーニングが、要件から自由になるということである。
実際、2016年から2017年にかけて受けた6つのワークショップのうち、要件として効いていたのは Intermediate の15単位だけだった。残りは、枠を埋めるためではなく、内容が必要で受けたものになる。
制度の枠に合わせて選んだのではなく、選んだものが結果として枠に収まっていた。その順序が、この課程を選んだ時点で決まっていたことになる。
