Neural Fascial Mobilization – Jonathan Martine(5)〜よりシンプルなアプローチを学ぶ

2016年10月3日。Jonathan Martine(以下Jon)のワークショップが再開し、5日目に突入した。

本ワークショップについては、本コラムにて4回書いた。

5日目のテーマは、心膜・横隔膜と、その周辺の内臓(心臓、肝臓、胃腸)。これまで上半身、下半身を中心に神経系へのアプローチを取ってきたが、今回は胴体の中心部へと向かった。

心臓を包む心膜が、横隔膜、鎖骨、背骨(胸椎)、頭蓋骨につながっていることを、解剖学の観点から説明。スマートフォンやPCを見ている人は、前かがみになって胸を固定するという一つの姿勢を取ることで、心膜周辺の筋肉や内臓が動きにくくなる、といった実例を示していった。

横隔膜近辺の筋膜
横隔膜と心臓

ミュンヘンでのトレーニングで、ロルフィングの1回目のセッションで学んだ内容の復習にもなった(「セッション1:呼吸を調える」参照)。そのトレーニングで学んだ手技を1年3か月クライアントに提供してきたことで、見えてきたものと見えてこなかったものがある。

  • もっと効率的にアプローチする方法はないか。
  • クライアントにとって、よりベネフィットになる方法はないか。

そうしたことを考えていた。

iStock_000007042239Medium

Jonは、ミュンヘンで学べなかった手技をいくつか共有してくれた。浮遊肋骨(12番目の肋骨)と身体の前側にある肋骨への両側からのアプローチを通じて横隔膜を緩める方法。浮遊肋骨と膝を立てた状態で大腰筋へアプローチする方法。首と呼吸法を通じて心膜を伸ばす方法。

また、肝臓、胃、心臓、腸へのアプローチも、以前チネイザンで学んだ方法とは違う、よりシンプルな内容を学ぶことができた。

おそらく、基礎的な方法を学んでいたこと。それをセッションでの実践を通じて自分の中に落とし込むことができたこと。解剖学の用語も少しずつ実感として入ってきていること。そうしたことから、新たな手技を受け取る準備ができたのだと思う。

IMG_6349

Jonのワークショップがやがて終わり、10月下旬以降に提供するセッションにも新たなツールが加わる。各回に提供するセッションのバリエーションが増え、自分のやり方も変わっていきそうだ。

パート1の内容も明日で最後になる。15人の参加者は本当に個性豊かで、バックグラウンドもロルファーのみならず、ピラティスのインストラクターや、ロルフィングとは異なる方法でアプローチするボディワーカーも含まれる。一人一人がワークショップ中に質問する内容も役に立っているし、それぞれの世界でどのように生きているのかについても、学ぶことが多い。

どのような形で前半のワークショップの内容が終わるのか、引き続き楽しみにしていたい。

2026年8月の注記

この日に扱われたのは、心臓を包む心膜が横隔膜、鎖骨、胸椎、頭蓋骨へどうつながっているか、という解剖学の説明から始まっている。ここまで解剖学に厳密に基づいて教える先生に会うのは、基礎トレーニングでもなかったことだった。

ミュンヘンで解剖学を担当していたKonrad Obermeier先生の授業は、それ自体が充実したものだった。ただ、解剖学の時間と手技の時間は分かれている。この講座では、解剖の説明がそのまま手の置き場所の説明になっていた。用語を知っていることと、その構造に正確に触れられることが、地続きになっている。

Sharon Wheelerからは、この2か月後に正反対のものを受け取ることになる。解剖学の本をIda Rolfに取り上げられ、感覚を頼りに積み重ねてきた人である。教科書に書いてあることは事実ではない、というIdaの信念のもとで学んだ。どちらが正しいという話ではなく、ロルフィングの中に両方があるということなのだと思う。

ただ、この時期の自分に必要だったのは、明らかに解剖学の側だった。開業して1年3か月、手技の精度を上げる段階にいた。用語を知り、構造を正確に把握して、そのうえで手を当てる。感覚に委ねるより先に、やっておくことがある。この講座で受け取ったのは、その順序だった。

もう一つ、この日の内容は、ミュンヘンで学んだ1回目のセッションの復習になった、と書かれている。心膜、横隔膜、呼吸である。

呼吸のセッションには、この後も別の入口から何度も戻ることになった。この記事の半年前、パリでのメンタリングでHubert Godardから言われたのは、基礎に何度でも戻ることだった。翌年3月にはGael Rosewoodから、セッション1をRolf Movementの側からどう扱うかを教わり、そこでBreak the Breathing Patternを受け取る。呼吸を正しくするのではなく、いつものリズムを一度成立させなくする、という考え方だった。

さらに前、2015年秋には渋谷でプラーナーヤーマの連続講座を三日間受けている。呼吸を止めて体腔内の圧を上げ、神経系に働きかける技法である。

同じセッションに、解剖学から、動きから、呼吸法から、それぞれ入っている。どれも1回目のセッションについての学びだった。当時は別々のものとして記録している。

10回シリーズの1回目は、最も基礎的な回である。基礎的だということは、繰り返し戻る場所だということでもあった。11年経って分かるのは、戻るたびに違うものが見えるから戻れるのであって、同じものを確認しに行っているのではない、ということである。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka