Phase III(29)〜最終面談とロルファーとしての認定

2015年3月25日、トレーニング最終日。昨年の8月から数えること78日(約700時間)、ようやくこの日を迎えた。最終面談(Final interview)が行われ、生徒一人一人が15分、2対1のインタビューに臨んだ。

ロルフィングのトレーニングの特徴は、トレーニング期間中に何を強化していったらいいのかフィードバックをもらうことができるので、最終面談で何を話し合うのか、だいたい想像がつくことだ。

Phase IIのGiovanni先生は、一人一人が羽ばたいていけるように、トレーニングの雰囲気も自由だった。Giovanni先生がクライアント・セッションをデモしている際も飲食やPCを見てもよく、自分のペースでクラスの内容を消化することができた。

Phase IIの段階では、学ぶことで精一杯な上、身体を観察すると情報の多さに圧倒された。何をやったらいいのかよくわからなかったというのが本音だ。そうはいうものの、今から振り返ってみると、Giovanni先生からは間をとることの大切さ(Hold the spaceということ。これについては「Hold the spaceを知る大切さ」と「中間面談」で触れた)と、もう一つ、自分のinner perception(自分の内側で感じる知覚)を信じることを学んだのだと思う。

Giovanni and Patricia

それが土台となってPhase IIIへ突入した。Phase IIIのターニング・ポイントは2週目にあったと思う。当時、南米でかかった風邪がなかなか治らず、1か月半かかってようやく2週目に快方に向かった。体調が完全ではなかったからこそ、開き直ることができた。

無理せず、今自分が感じることを大事にすることを心がけた結果、身体観察は短時間にして、自分の身体感覚(特に手当て)を信じて進むことができた。

中間面談の時には(「中間面談」参照)、

クライアントから一歩離れ、表層セッションで行ったアプローチでより広い視野で身体を観察して、その感覚に応じて対処すると改善するよ

ということをJörg先生からアドバイスを受ける。

そのことから、クライアントとの距離感を測りながら、自分自身は如何にしてニュートラルになって取り組むのかを課題に進めていった。本来ならばテクニックを磨くことを考えるのだが、テクニックはinner perceptionを信頼し、クライアントと適切な距離感を取れるようになれば自ずとついてくるもの、というJörg先生の言葉を信じながら進んだ。

特に大事にしたのが、

今この瞬間に感じる感覚を大事にクライアントと向き合う

ことだった。

そのためにも、知識を一度手放し、まっさらの状態でクライアント・セッションに臨むことが多くなった。恐怖感もあったが、不思議と自分の身体を調えることに集中すると、その恐怖感もやがて消えていくのを見ることができて興味深かった。

最終面談の際に、Jörg先生とAndrea先生と過去を振り返りながら、このようなことを話した。

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残念だったのは、今に集中していたために、Jörg先生とAndrea先生から短時間のロルフィング・セッションを受けたり、雑談する時間(例えば、それぞれの先生がロルフィングでどのような経験をしたのか)が思ったよりも取れなかったことだ。

European Rolfing Association(ERA)のロルファーは、来年開催予定のSupervision Workshop(1週間)への参加が必要で、その前に3回のメンタリング・セッションを受けることが義務付けられている。どちらかの先生のメンタリング・セッションを受けても面白いのではないかという話で終わった。

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最後に、円卓の椅子で一人一人の名前が事務スタッフのSabineから呼ばれ、認定ロルファーのcertificateが渡された。終わってみればあっという間。非常に充実感のある19週間で、自分の中で大きな変化があったので、これから先の10年から20年が楽しみになってきた。

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2015-03-25 16.10.10

本コラムでは、まだトレーニングについて触れたい内容があるので書くことにするが、無事認定ロルファーとなりほっとしている。学んだ多くの仲間と別れるのが寂しいが、これからどのような冒険が待っているのか、これから本当の楽しみだ。

2026年8月の注記

この記事が書いている制度は、いまはもうない。来年の Supervision Workshop への参加が必要で、その前に3回のメンタリングを受けることが義務付けられている、と本文は書いている。Supervision Workshop は廃止された。Phase I、II、III という三段階も Level 制に組み替えられ、メンタリングの回数も減っている。この記事に記録されている認定までの道筋を、そのままの形で辿ることはできない。

変わったのは順番の側でもある。2014年の Phase I には、書類審査があり、マッサージ施術の資格と経験、解剖学の記述課題、動機の提出、10回シリーズの受講、ムーブメント・セッション5回が求められた。通った人だけが教室に入った。現在の Level 1 は経験を問わない公開の課程で、誰でも受けられる。そして、そこを通ったことが次へ進むための単位になる。関門が、前から後ろへ移った。

もっとも、これが最初の組み替えではない。Phase IV で教わった Pierpaola Volpones が受けたのは80年代のミュンヘンで、そのときの課程は Audit と Practitioner の二段階だった。Audit の9週間は、ただ施術を見ているだけで手を動かさない。Practitioner の9週間で初めて施術に入る。そしてテキストも写真も手技の練習も一切なく、ただセッションをこなす形で進んだという。

80年代の二段階、2014年から2015年の三段階に Supervision Workshop を加えた形、そして現在の Level 制。三十年ほどのあいだに、少なくとも三つの形があったことになる。この記事は、そのうちの二番目の終わりに立っている。

何が変わり、何が変わらなかったのかを、制度の形だけから読み取ることはできないと思う。教える内容が揃えられたのかどうかは、外側の構造の変更からは分からない。分かるのは、入口の開き方と、段階の区切り方が動いたということだけである。

そして、この記事が振り返っているのは、手技の習得ではない。中間面談で受けたのは、一歩離れてより広い視野で観察するように、という助言だった。そこから、自分がいかにニュートラルになるかが課題になった。

テクニックは、自分の内側で感じる知覚を信頼し、クライアントとのあいだに適切な距離が取れるようになれば自ずとついてくる。その言葉を信じて進んだ、と書いてある。知識を一度手放してまっさらの状態で臨むようになり、恐怖感はあったが、自分の身体を調えることに集中すると消えていった。

十九週間で身についたものとして、この記事が挙げているのはそれだけである。制度の形がどう変わっても、ここで書かれていることの側は動いていない。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka