受ける側から見たロルフィング──3人のロルファーのセッション

この記事は、2015年7月から8月にかけて書いた2本を、2026年9月に1本へまとめたものである。伊藤彰典さん、佐藤耕祐さんとの交換セッション(2015年7月8日)と、高田圭二さんのセッション(同7月29日)を扱っている。末尾に2026年の注記を置いた。

はじめに

認定を受けて日本へ戻り、渋谷でセッションを始めて間もない時期に、3人のロルファーから施術を受ける機会があった。

佐藤耕祐さん

2015年7月1日、交換セッション。私と同じく世界一周をされて、この年にロルフィングの活動を開始した方である(耕・ロルフィング)。現在、白金台で施術を提供している。

立ち上げの段階でどのような点に注意したらいいのか、どのようにロルフィングを伝えていったらいいのかについて話すことができた。メールマガジン、ブログ、お客さん向けのニュースレター。ロルフィングについてわかりやすく伝えるためにどうしたらいいのかを考える際に参考になる。

佐藤さんは、ロルファーとして初めて私のセッションルームに招いた相手だった。非常に感慨深いものがあり、交換セッションはしやすかった。佐藤さんの施術は、手が繊細で、かつ温かく包み込むようなもの。セッションは非常に気持ちよかったためか、気を失ってしまい、全てを覚えていなかったのが残念だった。

伊藤彰典さん

2015年7月7日、交換セッション。私が10回セッションを最初に受けたロルファーである(リリーフ・スペース)。2013年12月から2014年4月まで。私がロルファーを決意するきっかけを与えてくれた恩人でもある。

渋谷のセッションルームにお招きしたのも初めてだった。短期間のあいだにこうして同業者として対峙するとは夢にも思わなかったので、開始前まで緊張した。

興味深かったのは、伊藤さんにセッションを行うと、後は任せた、という姿勢を感じたのか、予想以上にやりやすく、自分の中で何をやるべきなのかがセッション中にはっきりと整理できたこと。施術も最小限にとどめ、時間も少なかったが、どういったところを改善したらいいのかフィードバックをいただけたのがよかった。

伊藤さんのセッションは、ロルフィングとソースポイントセラピーを織り交ぜた施術だった。10回セッションが終わった2014年4月12日の後に、一度だけメンテナンス・セッションとして受けたことがある。そのときはそれほど強い印象を受けなかった。

今回のセッションでは、驚くほどのインパクトがあった。失礼な言い方になるかもしれないが、1年でこうも技術が上達して変化するのか、と驚くのと同時に、私自身も日々積み重ねて磨いていけばレベルアップする余地があると励みになった。

伊藤さんは、大阪でTEN(the space for your Life & Body)を主宰するロルファー、佐藤博紀さん(以下ヒロさん)から影響を受けている。

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セッションは身体観察から始まった。どこが気になりますかという質問がきたので、左右のバランスがどちらかに偏っていること、左の内耳感覚に少し違和感があることを述べた。

ベッドに仰向けになりセッションが開始。ヒロさんのときと同様、手が触れない状態でスタートした。首回りに手があるのに、右側の腰からお尻周りが自然と動き出す。肩、背骨や下肢あたりも動いたのだが、バランスが整うと、ピタッと止まる。ヒロさんのときもそうだが、非常に不思議な体験だった。

足の右側の付け根と右の肩に手を触れることもあったが、身体がどんどん整うことを実感。身体のラインが整っていくプロセスも見られて興味深かった。最後に、背骨の尾骨に触れた際に、尾骨が下に伸び、頭が上に上がっていくという、背骨が自由になった感覚があった。

セッションが終了して立ってみると、本当に驚いた。内耳感覚もそうだが、足もしっかりと地面についている感覚があり、身体が整っていた。

昨年の10回セッションでは、伊藤さんがなんとかこのお客さんに対していいセッションを行いたい、という気持ちを強く感じた。今回は、まったくそういったことを体感することがなく、心が無になっているようだった。実際に伺うと、瞑想を日々の生活の中に取り入れているらしい。

そして、治療をするのではなく相手に考えるスペースを与えること、相手に自分で必要な選択肢をヒントという形で与えて気づかせるアプローチを強く感じた。自分がどういった方向でロルフィングを行っていったらいいのか、ヒントを与えてくれたのではないかと思う。

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高田圭二さん

2015年7月21日、ロルファーの鎌田孝美さんからのお勧めで、ロルフィング&ボディワークスの高田圭二さんのセッションを受けに行った。日本人ロルファーから施術を受けるのは、ミュンヘン在住の中村かおりさん、伊藤彰典さん、藤本靖さん、佐藤耕祐さんに次いで5人目になる。

まず驚いたのはセッションルームに入ったときのこと。ヒーリングストーンが主要な箇所に置かれていた。圭二さん曰く、Rolf Movementの認定トレーニングをブラジルで受講した際に入手されたらしい。

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ロルフィングにHold the spaceという考えが重要であることについては、以前に触れたことがある(「Hold the spaceを知る大切さ」参照)。

人が何かを経験する際、その人が安心できるような環境を整えるために、時間やスペース(間)を与えること。大切なのは安心できる、安定した環境を与えることで、判断しない、批判しない、非難しないこと。いわば、その人が「あるがまま」になれる中立状態。そして、彼らの知性を信じ、自分で答えを導き出すことができるようにすること。

圭二さんがこのHold the spaceの考えを重視する姿勢を、部屋に入った瞬間、パワーストーンを通じて感じることができた。

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セッションは、アンケートへの記入とボディリーディングから開始。ベッドに横になって行うセッションとは違い、歩行や立位からのアプローチでスタートした。Rolf Movementに近いようなセッションになった。

私自身が股関節が硬いことを言ったら、膝の状態が良くないことがあるでしょう、ヨガのポーズの取り方で手に力が入るでしょう、といったことがポンポンと出てくる。しかも、それに対して圭二さんがニュートラルで自分の身体を調えている姿勢がよく見えるので、自然に感じられる。本当に安心して身を委ねることができた。

足の甲から脛までのあいだの関節を中心に可動域を広げることを心がけていった結果、膝に負担がかからない歩行の仕方を学ぶことができた。興味深かったのは、その歩行の仕方に関して、あくまでもこちらに吸収する時間と間を与えてくれたこと。間を与えてくれるということは、ある意味、自分自身に自由度を与えてくれるようなものである。

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驚いたのは、ロルフィングに武道的な要素(合気)を取り入れていたことだった。武道家の日野晃氏を含めた武道を追究し、観察していく過程で、ロルフィングをしなくても武道家の身体が整っていくということを学んだことから、取り入れるようになったとのこと。遠隔で正面から10メートル離れた先から合気を送っているのだが、ベッドで筋膜を伸ばして行う施術と同様、身体が勝手に動き整っていくことがよくわかった。

最後に、ベッドで腕と肩甲骨周りをアプローチ。腕や手の内側と外側のそれぞれの違いや、アシュタンガヨガで手をついたときのポーズ(例、チャトランガ・ダンダーサナ)のときに手をどのように使っていったら肩に負担がかかるのか、というところを、筋膜を伸ばすことで意識の違いとして経験することができた。

高田圭二さんは日本ロルフィング協会の理事でもある。身体への調整の仕方や間合いの取り方が絶妙で、アドバンスト・ロルファーから学ぶことはまだまだたくさんあり、いろいろな人から施術を経験することの大切さを学んだ。これからも、1〜2か月に一度はロルファーから施術を受けたいと思っている。

2026年9月の注記

伊藤彰典さんの回に、後から名前がつくものが3つ入っている。

一つは、手が触れない状態で始まったこと。首回りに手があるのに、右の腰から尻が動き出した。バランスが整うとピタッと止まる。非常に不思議な体験だった、と書いている。

ヒロさんのときと同様、と本文にあるとおり、その2か月前に大阪でソースポイントセラピーを受けている。伊藤さんはヒロさんから影響を受けた人である。ヒロさん以外から受けた最初の記録がここにある。この年の10月にModule 1を受けることになるが、その前に二度体験していたことになる。

二つは、心が無になっているようだった、という観察。前年の10回シリーズでは、伊藤さんがなんとかいいセッションを行いたいという気持ちを強く感じた。今回はそれがなかった。実際に伺うと、瞑想を日々の生活に取り入れているという。

2025年のアドバンストで受け取ったニュートラルは、施術者が自分の身体をどう置くかの3要件だった。Shape the Hand、Finding Back Space、Hara。この回はその10年前に、受けた側から同じものを観察している。施術者の側が何かをしようとしていないことが、受け手には分かる。

三つは、左の内耳感覚である。どこが気になりますかと聞かれて、左右のバランスの偏りとともに、左の内耳感覚に違和感があると答えている。

これは10回シリーズを終えた時点でも解けなかった感覚だった。2014年4月に終わり、この回が2015年7月。そして2025年12月、SSPを受けて、左右の内耳のバランスが身体感覚として分かるという形で、別の経路から到達することになる。11年半にわたって残った違和感が、ここでも訴えられている。

高田圭二さんの回については、Hold the spaceの4度目にあたる。

それまでこの語は、教わったものとして書いてきた。ミュンヘンの教室で頻繁に出てきた言葉であり、その意味をどう理解したかを書き、後にはセラピストの在り方を説明するための道具としても使った。いずれも、自分がどう受け取ったかの話だった。

この回では、部屋に入った瞬間に、他人の施術の側から感じ取っている。ヒーリングストーンが置かれていたことから、圭二さんがこの考えを重視していることが伝わってきた、と書いている。施術者が何を大事にしているかは、言葉にしなくても場に出る。そのことを、受け手として確かめた最初の記録である。

そして、この3人を受けたのは認定から3か月余りの時期にあたる。認定が2015年3月25日、帰国が4月14日。

11年分の記録を通しても、他のロルファーから施術を受けた回は多くない。日本人ロルファーからは、この時点で5人。以降に積み上がったのは、講座と課程の記録のほうである。受ける側に回った記録は、この時期に集まっている。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka