【R#241】「首」と「肩」を整えていくこと〜7回目のセッション〜「内耳感覚」を呼び起こす意義

はじめに

みなさん、こんにちは!
東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

中心軸を整えるとは〜自分軸で判断する力を養う

私は、2015年6月から渋谷・恵比寿・代官山にて、ロルフィング・セッションを提供している。

ロルフィングとは、
1〜2週間に1回、手技を使って、毎回テーマに沿って施術を行う方法の一つ。

身体を整えながら「身体感覚」を磨くことができるので、
身体の不調(肩こり、腰痛)も改善する。

ロルフィングの
1回目では、呼吸を整えること、
2回目では、足裏を整えること、
3回目では、前後のバランスを整えること、
身体感覚を磨くことで、心や世の中に対しての見方が変化していく。

いずれも表層の目の見える筋肉を扱うということだ。

興味深いのは、4回目〜7回目までのセッション。
(身体の内側にある)中心軸を扱うので、目の見えない深層の筋肉を扱う。

手順は、
4回目で、下半身(内転筋〜骨盤底付近)を整えること
5回目で、上半身の背骨の前側(腸腰筋、内臓、横隔膜)を整えること
6回目で、上半身の背骨の後側(脛、臀筋群、仙骨、背骨)を整えること
7回目で、上半身の肩と首全体を整えること
になっている。

jintaizu_中心軸

図にするとこんな感じになるだろうか。

jintaizu_中心軸_セッション7

私自身
中心軸を整えることの意味として、
「「身体感覚」を通じて、自分で物事を判断できる判断軸を身につけること」
ができると考えている。

今回は、7回目のセッションについて取り上げたい。

3つの感覚〜視覚、内耳感覚、筋感覚が姿勢に関わる

「姿勢」を見る際に、3つの要素が相互に関わっている。
視覚(Visual system)
内耳感覚(Vestibular system)
筋感覚(kinesthetic system)
だ。

3 system in the posture 2

3つの要素があって初めてバランスが調っている
とロルフィングは考えている。

2回目のセッションで「筋感覚」を、7回目のセッションで「内耳感覚」を呼び起こす。
これらの2つが呼び起こされることで、視覚へ影響を及ぼし、姿勢を整えていく。

「内耳感覚」は、平衡感覚に必要な感覚。
耳の奥にあり、目に見えなく、わかりにくい。
果たして「内耳感覚」を呼び起こすことはできるのか?
7回目のセッションでは、一つのテーマとなる。

まずは、上記の3つの要素のうち「視覚」から説明する。

視覚は整っているのか?〜デスクワーク社会

視覚は、目で見る情報だが人間の外部情報の8割を目に頼っている。
1)視力が低下する
2)老眼が進む
3)左右の目の使い方が違う
といった目の不調があると、視覚がうまく使えなくなる。

実際に、身体は、他の2つの感覚(筋感覚、内耳感覚)を使うことで、
その抜けた分を補おうとする。

現在社会は、デスクワーク社会。目を酷使し過ぎている面がある。

視覚を整えるのは、何もボディワークの専売特許ではなく、
視力を矯正した「メガネ」を使うことで、視覚をうまく使えるようになる。。。

しかし、このような対策を取ったとしても、他の2つの要素(感覚)は発達していないと
姿勢を良くしようと思っていても、効果が半減すると、今までのクライアントさんとの
経験から感じている。

以下、「筋感覚」と「内耳感覚」を説明したい。

筋感覚〜手と足が自由に使えているか?

筋感覚とは、手、足、頭・顔を含めた「外部感覚器官」が外の環境から情報をしっかりとキャッチ。
身体の中に五感情報としてが取り入れられるかどうか、という意味だ。

ロルフィングではPalpatoryやHapticという言葉で表現する。
Palpatoryは、解剖学を勉強するとき
「どこに筋肉や骨があるのか?」
実際に生きた身体に触れる、Palpation(触診)に由来する。

一方 で、Hapticは、ギリシャ語のἅπτω =”「触れる、触知」からきている。
いずれの意味も
「手や足を触れる際に情報を受け取れる状態に調える」
こと。
残念なことに、必ずしも身体はそのようになっていない。

足の場合には足底アーチが3箇所あるが、
そのアーチの土台を築くことや下肢と足との間にスペースが出来ることで、
下半身が地面をしっかりと受け止めることができ、上半身の自由度が増す。

Session 2 notes, Giovanni, Oct 2014

Palpatory/Haptic状態の足を表現すれば、まるでヤモリのように地についた状態、
または足にまるで目がついたような状態で情報を受け取ることができると考えてもいいかもしれない。

feet eye

顔・頭の場合は、重力によって押しつぶされた状態ではなく、
頭が空に吊るされた状態で身体が重力に対して、2つの方向で調える。
2つの方向とは、下半身が地について土台を作るので、上半身が自由に上向きに動けるという意味である。
結果的に、頭も自由に動くことで、五感も研ぎ澄まされ、外部からの情報が得やすくなる。

sky hook

私は、ヨガのインストラクターとして、ポーズを伝える前、「準備体操」の大切さを伝える。
手と足を含めた関節を一つ一つゆっくりと動かす「スークシュマ・ヴィヤヤーマ」という「準備体操」だ。
(詳しくは、下記の本をご参考になればと思う)

手足の関節を「呼吸と合わせて」「ゆっくり」「丁寧に」「身体を感じながら」
動かしていくこと(例えば、グーパー、踵や足指一つ一つ動かす)だ。
このように行えば、手や足が吸い付くように使えるようになる。

これらが使えるようになるとどのようなメリットがあるのか?

手と足がしっかりと使えると、背骨の深層にある筋肉群が安定する。
例えば、手のひら全体が、力を入れずに「吸い付けられる」ようにマットについていると、
肩甲骨の前鋸筋、菱形筋、背骨を結ぶ深層筋が使えるようになるのだ。

結果的に、ヨガで言えば、ダウンドッグ、逆転、後屈系のポーズが取りやすくなるのだ。

ポイントは
手や足に「力」を入れるのではなく、意識して動かす
ということ。

ロルフィングでは、2回目に足を、7回目で、手や腕を含め、意識を磨くことで、
深層筋が使える状態にまで持っていく。

そして、3つの要素の最後に「内耳感覚」がある。

内耳感覚〜平衡感覚を呼び覚ます

「内耳感覚」は平衡感覚のこと。重力を感じるのは耳の奥にある内耳。平衡器官があり、脳神経系と共同に働き、身体の向いている方向、傾きや動きを感知する。このことで身体のバランスを取り戻そうとする。

平衡感覚のわかりやすい例は、船酔い。
海の波で平衡感覚を失ってしまうために、船酔いは起こる。

耳は顔・頭の一部である。

7回目のセッションでは、顔・頭の筋膜を整えることで、内耳感覚を呼び覚ますことができる。
ロルフィングの名物となった7回では、口や鼻の中の筋膜へアプローチすることもあり、
顎やその周辺の筋肉、鼻周辺の筋肉や、舌の筋肉なども含まれる。

7回目のアプローチ〜口や鼻へ〜噛み合わせとの関係

7回目のセッションは、手、腕、肩周辺、上半身の背骨、顔、頭という順番で行なっていく。
例えていうならば、
4〜6回までで、中心軸は、胸付近まで整う形になったので、その上に首を乗せるという感覚
でセッションを行う。

頭は身体の頂上にあるので、ある意味7回目は中心軸の意識を取り戻すセッションとなる。

ロルフィングが他のボディワークと異なる点は、
「口や鼻の中にも施術を行い、筋膜の緊張を緩める」
という点にある。

更に、口の中をワークするのは、
口の中の噛み合わせのバランスを整える上でも大切で、
1)矯正歯科で歯列が整えた人
2)親知らずの抜歯を行った人
3)虫歯治療で、歯の削りすぎてしまっている人
であっても、噛み合わせによっては、バランスが崩れている人も多く見受けられる。

頭(頭蓋骨)と首(頸椎)の間にAO関節(環椎後頭関節)がある。
ロルフィングでは、口の中、首(頸椎)を整えることで、
間接的にAO関節へアプローチすることで、身体全体の緊張をほぐしていく。

実は、
ボディワークで、
頭と脊柱の関係に注目することで、身体の不必要な自動的な反応に気づき、
それをやめていくことを学習し、力を抜くことを身体で覚えていく方法
がある。
フレデリック・マサイアス・アレクサンダー(Frederick Matthias Alexander)
によって開発されたアレクサンダー・テクニックがある。

私も6ヶ月間学んだことがあるが、AO関節を解放させることで、身体の緊張が
予想以上に抜けていくことに驚いた記憶がある。

アイダ・ロルフがロルフィングの7回目の手法を開発していくにあたって、
このアレクサンダー・テクニックが大きな影響を及ぼしたと言われている。

内耳感覚を呼び起こすと・・・〜人生の方向性

内耳感覚が呼びおこされると
横隔膜・腸腰筋(5回目)、骨盤底(6回目)、胸鎖関節付近(7回目)と合わせて
水平面が整うので、中心軸が整っていく。

これらの水平面が整うと、自然治癒力へと身体が働きだす。

中心軸を整えることの意味として、
「「身体感覚」を通じて、自分で物事を判断できる判断軸を身につけること」
と書いた。

中心軸の感覚が芽生えると、重力の中で、一番負担が少ない姿勢へと変化。
自分の潜在能力を発揮し、
「自分の人生、どこの方向へと向かっていけるのか?」
考える余裕も出てきて、物事が判断できる判断軸が身につくのではないか、
という仮説を持っている。

まとめ

今回は、ロルフィングの7回目で、
手、腕、肩甲骨、背骨、首、顔、頭にアプローチすることで、
身体内でどういった変化が起きるのか?心への影響を含め紹介させていただいた。

7回目が終わると統合セッションへと向かう。
今後は、統合セッションについて取り上げたい。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka