はじめに
2021年12月11日(土)、午前6時20分の羽田空港発、午前8時00分伊丹空港着のANA便で、1年ぶりの大阪へ。
TEN〜the space for your Life & Body主宰のロルファー・佐藤博紀さん(以下ヒロさん)が開発した独自のメソッドの一つ、IMAC(Integrative Movement Assessment & Conditioning)の継続トレーニングを受講するための来阪だった。
ヒロさんとの出会い〜IMACとは何か?
私が、ロルフィング10回シリーズを受けたのが、2013年12月〜2014年3月。
その時のロルファーが伊藤彰典さん。伊藤さんの師匠にあたるヒロさんは、アスレティックトレーナーとしてのバックグラウンドや身体についての様々な知識が豊富で、2015年のロルフィングの基礎トレーニングを終えた2015年5月に初めて大阪で出会う。
ヒロさんのセッションルームのTENでソースポイントセラピーのセッションを受け、昼食をご一緒するご縁にも恵まれた。
その後、2015年以降、バリバリの左脳の解剖学に造詣が深いヒロさんから、毎年、必ず大阪に伺い色々なことを学んでいる。
ヒロさんが提供しているIMACは西洋の解剖学や生理学から東洋医学を見るところが面白く、東洋の叡智(チャクラ、奇経八脈、十二正経)が世界共通言語である科学の言葉で話されているのが面白い。
しかも、五感の中で「視覚」「体感覚」優位なところが、私と似ており、頭に入ってきやすい。
IMACは、Basic CoursesとAdvanced Coursesからなっている。
Basic Courses(全体的な評価(EROM)や四肢、筋骨格系を中心とした基礎(上肢編、下肢編))では、人間の筋骨格系の可動域を東洋の叡智から評価の仕方を学ぶ。すごいのは、経絡や臓器の状態を西洋医学の解剖学の視点(可動域)から把握できることだ。
私は、IMACを学ぶようになってから、ロルフィング・セッションの施術がうまくいっているかどうか、評価が確実にできるようになった。
IMACの前提となるのは、健康に対する考え方。
一般的に西洋医学は病気があったら、治療するという考え方(対症療法)からアプローチしていくが、ヒロさんの面白いところは、
「健康である、病気であるという『一つの状態』ではなく、システム全体の傾向としてより健全な方向に向かっているかどうか」
を
「健全に近くなればなるほど、適応力が高くなり、パフォーマンスも向上していく→IMACの場合、可動域制限が少ないほど健全な状態」
と考えていることだ。
可動域制限が取れるとは、身体が中庸(ニュートラル)な状態になる。これが健全な状態と捉える。
ニュートラルな感覚を学ぶためにIMACはあると言えると思う。
Advanced Courses(身体全体(脊柱・内臓編、頭頸部編)から見た可動域の評価の方法を学ぶ)では、より細かい手技を学んでいく。
Basicの3つ(EROM、上肢、下肢)とAdvancedの2つ(脊柱・内臓、頭頸部)を修めると、めでたく最後の統合編に参加できる。
昨年(2020年)12月に統合編を受講。今回は、統合編を受けた方を対象とした、統合編後の3日間のクラスに参加させていただいた。
からだの層への探求〜アーユルヴェーダとヨガ
参加者16名とともに、普段のIMACのクラスでは時間をかけられない部分に焦点を合わせつつ、
「IMAC統合編で終了している人向けの、情報を知識にしていき、みんなで成長していくためのセミナー」
というタイトルのワークショップ。
身体の可動域の制限が取れたとしても、元気ではない人たちや、思考が強まってしまい、自分が何をしたらいいのか?わからなくなり、鬱になってしまっている人たちに対してどう対処したらいいのか?
今回は、身体の領域以外のところを扱うところが面白いと思った。
そのために知っておく必要のある、身体の哲学の考えの紹介があった。
理論物理学者の Amit Goswami 博士によると、身体には「5つのカラダ」があるという。
Bliss(意識、全体性) Supramental(鋳型、直感) Mental(思考) Vital(エネルギー体) Physical(肉体)
システム全体の傾向としてより健全な方向へ進む際に、この5つの層を考えると、非常にわかりやすいと紹介を受けた。
この中で自我で意識できないのが、BlissやSupramental。
瞑想や催眠療法によってMentalへ、鍼灸、ソースポイント、直傳靈氣、ヨガによってVitalへ、エクササイズ、サプリメント、食事によってPhysicalにそれぞれアクセスすることができる。
今一、BlissやSupramentalについてはピンと来なかったが、9年前にうけたトレーニングで思い出したことがあった。
2012年にヨガの指導者トレーニング(Under the light yoga school(代々木))を学んだ際(2013年にRYT200指導資格を取得)、ヨガの人体に対する見方として、5つのコーシャ(鞘)(パンチャ(5つ)・コーシャ)が紹介されていたのを思い出した。
アンナマヤ・コーシャ(食物鞘、肉体)(Gross Body) プラーナマヤ・コーシャ(生気鞘、エネルギー体、プラーナ)(Subtle Body) マノマヤ・コーシャ(意思鞘、思考)(Subtle Body) ヴィジュニャーナマヤ・コーシャ(理知鞘、直感、鋳型)(Subtle Body) アーナンダマヤ・コーシャ(歓喜鞘、意識、全体性)(Causal Body)
アンナマヤ・コーシャは、食べ物によって作られた層で、食物の消化・吸収によって影響を受ける。
プラーナマヤ・コーシャは、身体内外の生命エネルギー(プラーナ)を身体内に取り入れ、循環。体外に出す器官(呼吸・消化・循環・排泄・生殖器官)に該当。
マノマヤ・コーシャは、五感の外部から情報を受けとるが、その情報の受け止め方(動く思考、感情の層)のこと。
ヴィジュニャーナマヤ・コーシャは、知性の層。感情に流されない、正しい知性によって、五感から得た情報を正しく判断。
アーナンダマヤ・コーシャは、本質(アートマン)に包まれたもの、実際に目に見えないもの。
ヨガでは、外側のアンナマヤ・コーシャから一番内側にあるアーナンダマヤ・コーシャまでを玉ねぎのように1枚1枚、ヨガの実践を通じて、玉ねぎの皮を剥いていく。そうすることで内側の真実を知ることができると考える。
まさかIMACで、このような身体哲学の話を聞く機会が訪れるとは夢にも思わなかったが、実際、ヒロさんが施術を提供していく中で、このような考え方を理解していると、より成果がはっきりと出るからというのが理由だそうだ。
IMACと5つのカラダ〜何もしない
今回学んだのは、5つのカラダをどのようにボディワークと関連して手技に反映させていくのか?であったのだが・・・
「身体全体を傍観する、自分の意識が向く先を観察する、システムの変化を追わない」
というもの。
今まで何かをするという意識で、セッションを行っていたと思う。
今回は、何もしないことを意識することで、相手の身体は自ずと健全な状態を見つけることを体験を通じて学ぶことができた。
実際、3日間練習をしてみると、施術を行った前後で、筋肉や関節の可動域が劇的に変化していくのに驚かされた。
まとめ
ヒロさんは、練習を通じて身につけることが可能だといっていたので、果たしてどうなるか。実際、恵比寿に戻ってきて、クライアントに試してみているが、効果がテキメン。
半年実践していくことで、何かが見えてくれば、今回参加した意義があるのではないかと思う。
このような貴重な場を提供してくれた、ヒロさんと参加者のみなさんに感謝したい!学んだことを6ヶ月かけて練習を通じて磨いていく予定です。
シリーズの記事
- IMAC(1)〜身体の評価と解剖学を中心としたワーク〜イントロ編〜関節・筋肉の可動域を使ってどう身体を評価するか?
- IMAC(2)〜上肢編〜可動域・筋テスト・筋膜へのアプローチをどの順番で行うのか
- IMAC(3)〜下肢編〜「緩める」ではなく、情報が届いていない場所を探す
- IMAC(4)〜内臓と筋肉〜筋肉の働きが内臓にどう影響するのか?
- IMAC(5)〜EROM〜基礎的な可動域の評価の仕方について学ぶ
- IMAC(6)〜下肢編〜解剖学と東洋の経絡の接点:可動域から何がわかるのか
- IMAC(7)〜上肢編〜可動域と経絡:内臓の状態、自律神経を含めた整え方について学ぶ
- IMAC(8)〜脊柱・内臓編〜発生学をベースとした脊柱・内臓の見方を学ぶ
- IMAC(9)〜頭頸部編〜頭頸部から見た経絡から身体を整える方法を学ぶ
- IMAC(10)〜統合編〜20種類の経絡を、可動域という西洋の指標から見る
2026年9月の注記
この回で学んだことを、本文は一文で書いている。身体全体を傍観する、自分の意識が向く先を観察する、システムの変化を追わない。
そして、今まで何かをするという意識でセッションを行っていた、と続けている。何もしないことを意識すると、相手の身体は自ずと健全な状態を見つける、と。
3日間の練習の後、施術の前後で可動域が劇的に変わったことに驚いている。何もしていないのに。
この回のもうひとつの主題も、同じところを向いている。学んだ発見の2つ目に、こう書いた。手技や理論を学ぶとその知識に振り回されてしまうが、大事なのはニュートラル、中庸である。如何にして自分はニュートラルになり、相手が自分で解決するきっかけを与えることができるのか、と。
このクラスの講義資料が手元にある。ヒロさんが作ったもので、日付は2021年12月8日。受講日の3日前だ。
そこに「実技:ニュートラル」という節がある。独立した節で、実技が3つ続く。
3年4か月後の2025年4月、アドバンスト・トレーニングを受けている。そこで中心に据えられていたのが、ニュートラルだった。Ray McCall と田畑浩良さんから、24日間かけて渡された。
同じものを、2021年12月の大阪で、3日間かけて受け取っていたことになる。
偶然ではないと思う。ニュートラルという語は、クラニオセイクラル・バイオダイナミクスの中心にある。
Ray McCall はバイオダイナミック・クラニオセイクラルの指導者資格を持ち、2007年からソースポイントセラピーの創始者 Bob Schrei と共同で教えている。ヒロさんはソースポイントセラピーの認定インストラクターで、Module 3 を2020年に Bob から受けている。バイオダイナミック・オステオパシーは Jim Jealous から。
二人とも、同じ線の上にいる。
同じ形のことが、前にもあった。2025年のATで、1980年代以降にバイオダイナミック・クラニオセイクラルがオステオパスの外へ伝わり、ロルフィングに影響を与えたという歴史を聞いた。同じ話を、その8年前に大阪でヒロさんから聞いていた。
一つの系譜を、二人から、間隔をおいて二度受け取っている。
そして、この回で受け取ったニュートラルには、その手前がある。2015年12月、IMACの最初の日に、こう聞いている。力を入れた状態で触診をすると、自分の身体に力を入れているので、相手からの情報が入りにくくなる。だからエネルギーワークという、逆に身体に触れないワークの方が、情報が入ってきやすくなる、と。
一言だった。6年かけて、それが3日間の実技になった。
言葉として先に置かれ、後から中身が来る。このシリーズで何度も起きたことが、最初と最後のあいだにも起きている。
本文の最後に、学んだことを6か月かけて練習を通じて磨いていく予定だ、と書いた。
その6か月がどうだったかは書き残していない。ただ、4年後のアドバンスト・トレーニングで同じ主題に会ったとき、初めて聞く話ではなかった。

