
ホームページの改定を終えた
3ヶ月に及ぶホームページの改定を終え、新しいホームページを、2026年9月25日に公開した。
WordPress でホームページを書き始めたのが2011年8月。ロルフィングのホームページを作ったのが2015年12月で、2017年7月に二つを一つにまとめ、2019年7月に英語版を公開した。そこから15年分の記事が積み重なっていた。
この記事は、ホームページの改定の途中経過を書いてきた連載「新しいホームページができるまで」の最終回である。前回の最後に、公開したら何が変わったかを書きたい、と書いた。今回はその話である。以前のホームページと比べて何が変わったのか。なぜ変えたのか。何を根拠にしたのか。この三つを書いておきたい。
何を根拠にしたか
答えのない時代、生成AIが猛烈な勢いで発展していく中、どのようにホームページを作っていくのか。ある程度、自分なりの答え(仮説)を持って進めていくことが重要となる。そういった意味で、生成AIは、ホームページのアクセスデータをしっかりと分析してくれる上、わかりにくい場合には、具体的な言葉で説明してくれる。それが良い。
判断の材料にしたのは、三つのツールのデータである。
Google Search Console
Google が無料で提供しているツール。このサイトが Google で検索されたときに、何回表示され、何回クリックされたか、どんな言葉で探されたか、検索結果の何番目に出ているかが分かる。
Bing Webmaster Tools
同じことを、Microsoft の検索エンジン Bing について調べられるツール。
Bing は、Google と並ぶ検索エンジンである。日本では、検索といえば Google を使う人が多い。一方で Bing は、Windows のパソコンに最初から入っているブラウザ(Microsoft Edge)の検索エンジンで、パソコンからの検索に強い。
Bing は、生成AIともつながっている。Microsoft の生成AI(Copilot)は、Bing の検索結果を使って答えている。ChatGPT を作っている OpenAI も、Bing を公式の検索パートナーにしており、ChatGPT がインターネットを検索して答えるときには、Bing の検索結果が主な情報源の一つになっている。Bing に載っているかどうかは、生成AIに引用されるかどうかに関わる。
Microsoft Clarity
Microsoft が無料で提供しているツール。Google Search Console と Bing Webmaster Tools が、検索結果の中で、つまりサイトに来る前に何が起きているかを見るツールだとすれば、Clarity は、サイトに来たあとに何が起きているかを見るツールである。
どのページが読まれたか、1ページにどれくらいの時間とどまったか、ページのどこまで読み進めたかが分かる。ヒートマップという機能では、ページのどこがよくクリックされ、どこで読むのをやめたかが、色の濃淡で見える。
生成AIは、答えをつくるために、インターネット上のページを自動で読みに来る。Clarity では、ChatGPT や Claude といった生成AIが、このサイトのどのページを何回読みに来たか、生成AIの答えを見てこのサイトに来た人がどれだけいたかも分かる。
データから分かったこと
この三つを、5月から毎月見てきた。分かったことは三つある。
一つ目。「ロルフィング」で検索しても、このサイトは上位に出てこなかった。2026年5月の時点で、Google の検索結果では41位だった。
二つ目。このサイトに検索から来る人は、ほとんどが Google からだった。Bing から来る人の約7倍である。もう一つのサイト、Mind and Bodywork Lab は反対で、Bing から来る人が Google の約4倍。二つのサイトで、人が来る道筋がまったく違っていた。
使っている端末にも違いがあった。このサイトに Google から来る人の3分の2は、スマートフォンからだった。Mind and Bodywork Lab に Bing から来る人は、ほぼすべてがパソコンからだった。
三つ目。生成AIは、このサイトを3ヶ月で2万7千回以上読みに来ていた。ただ、生成AIの答えを見てこのサイトに来た人は、まだほんのわずかである。生成AIはたくさん読んでいるが、そこから人が来るところまでは、まだつながっていない。
Google検索寄りに、内容は生成AIのために
ロルフィング・セッションの予約につながるのは、このサイトである。そして、このサイトに人を連れてきているのは Google である。そこで、このサイトは Google 検索寄りにすることにした。
一方で、記事の内容はたくさん入れた。生成AIに引用されるためである。
実際、同僚のロルファーから、ロルフィングの考え方を生成AIに尋ねたら、このサイトが引用されていた、という報告もあった。
何が変わったか
トップページ
以前のトップページは、いちばん上に写真だけが並び、文字はなかった。その下で「ロルフィングの3つの特徴」を紹介していた。終わりがあること(全10回)、「楽な姿勢」が自分で見つかること、身体から心理的な変化を促すこと、の三つである。

新しいトップページでは、3つの特徴をやめた。代わりに、いちばん上に「ロルフィング ── 重力と調和した身体を取り戻す10回完結のボディワーク」という見出しを入れた。その下に、ロルフィングとは何かの短い説明と、体験セッションの場所・時間・料金をまとめた。

体験セッションは、東京・渋谷、1時間半(コンサル30分と施術60分)、10,000円、英語対応可。
変えた理由は、一つ目のデータにある。「ロルフィング」で41位では、Google から人が来ない。見出しに「ロルフィング」を入れ、説明は、実際に検索されている言葉に応える内容にした。3つの特徴で伝えていたことは、この説明と、次に書くサイトの歩き方で伝えられる。
場所・時間・料金をいちばん上に載せたのは、二つ目と三つ目のデータからである。予約につながる人を連れてくるのは Google で、生成AIはこのサイトをよく読んでいる。Google で探す人にも、生成AIに尋ねる人にも役立つのは、予約に必要な情報が、すぐ見つかる場所にまとまっていることである。Google から来た人も、生成AIの答えからこのサイトを知った人も、同じ情報にたどり着ける。短くまとまった説明も、生成AIが答えの中でそのまま使いやすい。
トップページには、「PhD × 身体知性」と「認識のOS」の考え方もまとめた。「認識のOS」は、論理のOS、感覚のOS、対話のOS、視点のOS の4つの層からなり、ロルフィングが扱うのは、このうちの感覚のOS である。身体の構造、身体の記憶、身体の科学という3つの入口からも読み進められる。
- なぜ肩こり・腰痛はマッサージでは治らないのか── 身体の【構造】から読み解くロルフィング
- なぜ感情は身体に残るのか── 身体の【記憶】から読み解くロルフィング
- ロルフィングは疑似科学か?── 身体の【科学】から読み解くロルフィング
サイトの歩き方
以前のホームページには、初めて来た人のための入口がなかった。540本あったホームページは、書いている側にとっては積み重ねでも、初めて来た人にとっては、どこから読めばいいのか分からない場所でしかない。
そこで、メニューの左端に「サイトの歩き方」を作った。関心に近い4つの入口と、10のテーマから読み進められる。
4つの入口:ロルフィングを知りたい/身体と感情のつながり/施術者を知りたい/受けてみたい
10のテーマ:
- 身体に、何が起きているのか:筋膜/重力/知覚/エネルギーワーク
- 施術者は、どこから見ているのか:現象学
- 受けた人は、どう変わったのか:ヨガ × ロルフィング/体験記
- 科学は、何を言っているのか:姿勢・動き科学/身体心理学/愛着理論
このうち「筋膜という見方」「重力という見方」「知覚という見方」と、「施術者は、どこから見ているのか」の現象学のページは、制作をお願いしたあとに書いたもので、当初の構成には入っていなかった。
よくある質問も、ここに10問まとめた。ロルフィングとは何か、マッサージや整体と何が違うのか、何回受ければよいのか、痛くないか、支払い方法、英語での対応などである。問いと答えの形は、生成AIが答えの中でそのまま使いやすい。
サイトの歩き方も、最初からこの形だったわけではない。制作の途中では、同じページの中に、読む人を振り分ける仕組みが3つ並んでいた。関心から選ぶ4つの入口、読む順番を示す順路、テーマ別の7つの入口である。行き先はほとんど同じなのに、分け方だけが3通りあった。サイトの歩き方の役割は、読む人を適切なページへ送り出すことである。分け方が重なるほど、その働きは鈍る。そこで、4つの入口と、テーマの一覧の2つに絞った。
そのテーマの一覧も、当初は9つで、「人物・体験・科学」の3つの軸に分けていた。これを10のテーマと4つの問いに組み替えた。
一つは、軸の名前が書き手の側の分類だったからだ。「大塚英文を知る」「体験者・実践者から学ぶ」「身体・神経系・心理の科学」では、読む人が自分のことだと思えない。そこで、読む人の関心の順に、何をされるのか、誰がやるのか、どう変わるのか、根拠はあるのか、を問いの形にした。名詞で並べると分類名に戻ってしまうので、問いのまま見せている。
もう一つは、数である。9を10にしたのは、ロルフィングの10回シリーズと数を揃えるためだ。「大塚英文を知る」は外し、4つの入口の「施術者を知りたい」と、メニューのプロフィールに任せた。筋膜は科学の分類から「身体に、何が起きているのか」の最初に移し、現象学は独立した分類として立てた。
記事の数
公開に向けて、15年分の記事を一本ずつ読み直してきた。残すもの、残さないもの、一本にまとめるものに分けながら進めた結果、着手前に約540本あった日本語の記事は432本に。英語の記事は、日本語の記事を英訳していったことで、約170本から437本になった。英語だけの記事がある分、日本語より多い。
Mind and Bodywork Lab との役割分担
二つ目のデータのとおり、このサイトは Google から、Mind and Bodywork Lab は Bing から人が来ている。役割も分けた。ロルフィングが扱う感覚のOS はこのサイトで、論理・対話・視点のOS を探究するのが Mind and Bodywork Lab である。予約を受けるのはこのサイトで、Mind and Bodywork Lab は考え方を伝える場にしている。Mind and Bodywork Lab が Bing に強いことは、ChatGPT や Copilot に引用されるうえでも意味を持つ。トップページとサイトの歩き方から、Mind and Bodywork Lab の最新記事や各シリーズに進めるようにした。
プロフィールと英語版
メニューの「プロフィール」からは、博士から認定ロルファーになるまでの経緯や、12年のトレーニングの記録をたどれる。
どのページにも English への切り替えがあり、対応する英語のページに移れる。
まとめ
今回は、新しいホームページが以前と比べて何が変わったのか、なぜ変えたのか、何を根拠にしたのかを書かせていただいた。
「ロルフィング」で41位だったこと、人が Google から来ていること、生成AIはよく読んでいるが人はまだ来ていないこと。この三つのデータから、トップページを組み直し、サイトの歩き方を作り、二つのサイトの役割を分けた。
制作は、今回も、長年依頼しているデジタルライフクリエーターの切岸智紀さんにお願いした。感謝している。
初めての方は、「サイトの歩き方」からご覧ください。
この連載は全4回。第1回から第3回は、こちら。
