【R#244】重力と姿勢〜重力下で働く「一過的」「持続的」に働く筋肉を知る〜力を抜くこと

「力を抜く」を「筋肉」との関係からどう捉える?

私は、2015年6月から渋谷・恵比寿・代官山にて、ロルフィング・セッションを提供している。

ロルフィングとは、

1〜2週間に1回、手技を使って、毎回テーマに沿って施術を行う方法の一つ。

身体を整えながら「身体感覚」を磨くことができるので、

身体の不調(肩こり、腰痛)も改善していく!

10回セッションからなっており、

1回目〜3回目までは、表層の筋肉を扱い、

1回目では、呼吸を整えること、

2回目では、足裏を整えること、

3回目では、前後のバランスを整えること、

で、いずれも身体感覚を呼び起こし、心や世の中に対しての見方を徐々に変化させていく。

4回目〜7回目までのセッションでは、深層の筋肉を扱う。

(身体の内側にある)中心軸にアプローチするからだ。

手順は、

4回目で、下半身(内転筋〜骨盤底付近)を整えること

5回目で、上半身の背骨の前側(腸腰筋、内臓、横隔膜)を整えること

6回目で、上半身の背骨の後側(脛、臀筋群、仙骨、背骨)を整えること

7回目で、上半身の肩と首全体を整えること

になっている。

8回目以降は、今まで整えた身体を統合させていく。

前回は、「力を抜く」(ここでは「余計な筋肉の力」を抜くという意味で使っている)のことをブログで紹介

ただ、そうはいうものの・・・

「余計な力といっても、どの筋肉を緩めたらいいの?」

という疑問があるかと思う。

今回は、この点をもう少し深掘りをしながら、紹介したい。

重力下で働く2つの筋肉〜「一時的」と「持続的」

人間は、誕生してから死ぬまで、重力の環境下に置かれることになる。

重力の環境下、姿勢を維持するため、筋肉が働いている。

その時に、身体の中で、筋肉はどのように働いているのか?

ロルフィングでは、重力に置かれた時に、身体は2種類の筋肉が働くと考える。

(この考え方は、ロルファー・ダンサーのHubert Godard氏のTonic Functionに基づいている)

重力の下で、一時的(Phasic)に働く筋肉と持続的(Tonic)に働く筋肉の2つだ。

「一時的」に働く筋肉〜疲労感がある

一時的に働く筋肉は、スプリント、ウェイトリフティング、物を持ち上げるときなどに使われる。

努力して物を持ち上げる際に働き、ブドウ糖をエネルギー源にしている。

ブドウ糖を使うため、すぐに乳酸が溜まりやすいので疲労感が襲い、身体が疲れる。

この筋肉は、α運動神経系が支配(運動神経系の2/3を占める)

人間の脳によって働く神経系の一つであるため、脳が直接影響を及ぼすことができる。

(つまり、意識して動かす筋肉)

日々のストレスによって身体に緊張が襲う場合にも、一過的に働く筋肉が動く。

これらの筋肉は、身体の外側(表層)に多く存在。

ストレスやデスクワークの多い世の中では、これらの筋肉が緊張状態に置かれている。

肩こりや腰痛は、外側の筋肉が緊張していることが多い。

1回〜3回までのセッションでは、ここの筋肉を中心にアプローチし、徐々に次に述べる

持続的に働く筋肉に意識が向けられるように身体を整えていく。

「持続的」に働く筋肉〜疲れ知らず

持続的に働く筋肉は、姿勢の維持に関わっている。

酸素をエネルギー源としている。

ゆっくりと持続的に働くため、疲労感に襲われにくい。

本来ならばこの筋肉が働いてほしいが、身体の内側(深層)に存在することが多い。

表層が緩んでいないと、働かない。

ヨガやピラティスを練習しても、肩こり、腰痛が良くならない場合には、表層の筋肉

が緩んでいないため、インナーマッスル(深層筋肉)に意識が向かない。

この筋肉群の特徴は、

「筋紡錘(spindle)が多く持つこと」

だ。

筋紡錘とは、筋肉のセンサーであり、筋肉の伸ぴ縮みを感知する感覚器官として知られている。

例えば、

ヨガや瞑想で

「身体を意識しなさい」

と指示されることがあるかと思う。

その時に、スイッチが入るのが筋紡錘。

身体が重力を探知すると、筋紡錘のスイッチが入る。

このため、

重力を意識しなくても筋紡錘の多い持続的に働く筋肉が無意識に動くこと

ができる。

この筋肉は、γ運動神経系(gamma motor neuron)によって支配を受ける(運動神経系の1/3を占める)。

γ運動神経系の特徴は、直接意識するというよりも無意識や習慣に関わる小脳や延髄などの支配を受ける。

γの面白いところは、拮抗筋を働かせることなく必要な筋肉のみを働かせることができることである。

筋肉を緩めるためには、相反作用があることを書いたことがある。

実際に緩めようとする筋肉、例えばもも裏のハムストリングスを緩めようと思ったら、

反対側の 大腿四頭筋(もも正面の筋肉)に力を入れると、ハムストリングスが緩むように身体ができている。

腕もこぶの筋肉が縮んでいるときには、その裏の筋肉は緩んでいる。これを筋肉の相反作用という

(大腿四頭筋に対してハムストリングスは拮抗筋という)。

一過的に働く筋肉の場合は、α運動神経系が優位となり、拮抗筋が働き出してしまうのだ。

一方で、深層筋は、表層ではなく、深部にあるので、手技では、届かない可能性が高い。

ロルフィングでは、深部に取り組むのが、4回〜7回。

中でも注目するのが「筋感覚」だ。

なぜ「筋感覚」に注目するのか?それは、γ運動神経系と関わりが深いからだ。

「筋感覚」と「深層筋」〜手と足は深部につながっている

γ運動神経系を活性化するためには「筋感覚」を使えている状態が鍵となる。

「筋感覚」は、本コラムでたびたび紹介しているが、

「手、足、頭・顔を含めた外部の環境を受け取る五感を担当する器官がしっかりと情報を受け取り、

的確に身体の内部に情報が伝えることができるかどうか?」

という意味だ。

なぜ、これらが大事なのか?

手と足(手は手のひら全体、足はアーチを含め全て)がしっかりと使えると、背骨の深層にある筋肉群が安定する。

例えば、手のひら全体が、力を入れずに「吸い付けられる」ように

ヨガ・マットでポーズ(例えば、下向きの犬のポーズ)をとると、

肩甲骨の前鋸筋、菱形筋、背骨を結ぶ深層筋が使えるようになる。

これらの深層筋が、持続的に働く筋肉に該当し、γ運動神経系を活性化することができるのだ。

ロルフィングは

「如何にしてγ運動神経系を活性化して、身体内のエネルギーの効率の高い持続的に働く筋肉を最大限生かしていくか?」

が究極的な目的となる。

そのために10回のセッションが組み立てられているし、中心軸が自ずと整っていく。

世の中に対する見方と「持続的」に働く筋肉

興味深いことに「持続的」に働く筋肉は、4つの要素によって影響を受けることが知られている。

1)身体的な構造(身体の姿勢や構成、重力等)(structure)

2)身体全体がどう共同して動くのか?(coordination)

3)世の中をどう見るのか?(perception)

4)どのように世の中に対して意味づけを行なっているのか?(meaning)

ロルフィングで行うのは、1)だが、

2)は、ヨガやピラティス、運動を行うことで「持続的」に働く筋肉に働きかける。

3)や4)は、カウンセリング、コーチングやタロット・セッションを通じて、

自分の価値観を見つめ直すことで「持続的」に働く筋肉が変わる可能性がある。

例えば、私はタロット・セッションを提供中に、自分なりの解決策が見つかった途端に、

身体の力が抜けていく瞬間を何度か立ち会ったことがある。

これは、まさに4)から「持続的」に働く筋肉に働きかけた結果だと思っている。

まとめ

今回は「力を抜く」ことについて、重力と筋肉との関係からまとめさせていただいた。

この投稿が、少しでもお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人

Hidefumi Otsuka